光通信の新技術
2025-10-22 14:26:37

地上-衛星間光通信での誤り訂正符号の成功、通信品質向上に期待大

地上-衛星間光通信技術の新たな一歩



国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と国立大学法人名古屋工業大学(名工大)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、地上と衛星間の光通信における大気ゆらぎの影響を克服する次世代誤り訂正符号の送信実験に成功したと発表しました。通信の信頼性が大きく向上することが期待され、実用化に向けた研究開発の進展が見込まれます。

大気ゆらぎとその影響


地上-衛星間の光通信は、信号が大気を通過する際、さまざまな要因によって干渉を受けることがあります。その中でも特に大気の揺らぎは、通信品質を著しく低下させ、誤りデータの発生を引き起こします。実際、NICTの調査からは、大気ゆらぎが数ミリ秒から数十ミリ秒の間のフェージングを引き起こし、この結果、通信が不安定になることが明らかとなっています。

次世代誤り訂正符号の採用


これまで、通信の品質改善には光学系を用いた複雑な補償技術が必要でしたが、NICTは、誤り訂正符号を用いることでこの課題を乗り越えることに成功しました。特に、次世代誤り訂正符号である5G NR LDPC(Low-Density Parity-Check)とDVB-S2(Digital Video Broadcasting - Satellite 2)を使用し、高い誤り訂正能力を発揮させることに成功しました。これにより、大気ゆらぎによって引き起こされる誤りデータを連続的に訂正することが新たに確認されました。

実験の結果


実験は、NICTの1m光地上局とJAXAが運用中の光データ中継衛星搭載の光通信システム「LUCAS」を用いて、60 Mbpsの通信回線を介して行われました。実験結果の解析によれば、次世代誤り訂正符号が従来技術よりも通信品質を向上させられることが示されました。これにより、地上-衛星間の光通信システムにおいて、高度な信号処理が実現されることとなります。

今後の展望と期待


今回の成果によって、地上-衛星間の通信技術は新たなステージに進展しました。この研究が進むことで、現在使用されている5G通信プロトコルや衛星放送など、さまざまな領域への適用が期待されます。特に、2025年に開催される国際会議「ICSOS」において、これらの成果が広く発表される予定であり、世界中の研究者や技術者たちからの注目が集まるでしょう。

研究チームの役割


ニシオ コミュニケーション研究所では、誤り訂正符号やインタリーバの調整、通信への影響の評価を担当しました。一方、名工大は、信号の送信に必要な誤り訂正符号のデータ生成や受信データの解析、アルゴリズムの開発に関わっています。また、JAXAは、実験の計画立案と将来の宇宙機への搭載を考慮した運用を行っています。

このように、多くの機関が連携することで、地上-衛星間光通信のさらなる発展が促進されることが期待されます。新時代の通信技術の実現に向けて、今後の進展にどうぞご期待ください。


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