東京都が開始する高齢者向け消費者被害防止プロジェクト
東京都は、近年増加する高齢者の消費者被害を防ぐための取り組みを強化しています。2023年度には、約13.2万件の消費生活相談のうち高齢者からの相談が約4.7万件にのぼり、全体の3割以上を占めています。これは全国的にも深刻な状況を示しており、特に高齢者が特定の悪質商法に巻き込まれやすいことが背景にあります。このプロジェクトでは、高齢化の進展に伴い、ますます深刻化するこれらの問題への対策として、宅配事業者と協力してリーフレットを直接配布することが決定されました。
プロジェクトの概要
このプロジェクトでは、9月から12月にかけて約16万部の悪質商法被害防止に関するリーフレットが配布されます。具体的には、宅配業務や配食業務を行っている事業者が、高齢者やその見守り役となる方々のもとを訪れて手渡しを行います。今年度のリーフレットは、高齢者に多く見られるトラブル、特に買い取りや訪問販売に関して漫画形式で紹介されています。リーフレットでは、わかりやすく注意喚起をし、高齢者が自らの身を守る手助けをする内容となっています。
リーフレットのイラスト
本プロジェクトのリーフレットに使用されているイラストは、イラストレーターの佐藤正明さんが手掛けています。これにより、視覚的にも訴求力のある情報提供が実現され、親しみやすさを持った内容となっています。
連携事業者について
この取り組みには、複数の宅配業者が参加しています。
- - 運送事業者: ヤマト運輸株式会社(西東京主管支店)
- - 生活協同組合: コープみらい、東都生活協同組合、パルシステム東京、生活クラブ生活協同組合・東京
- - 配食事業者: 株式会社ベネッセパレット、ワタミ株式会社、株式会社シニアライフクリエイト
- - 飲料宅配事業者: 東京ヤクルト販売株式会社
このように、さまざまな事業者が連携し、高齢者の消費者被害防止に向けた支援を展開しています。
参加者の声
プロジェクト実施後、配布されたリーフレットに関する主な感想も寄せられています。リーフレットを手にした高齢者からは、配達員との信頼関係に基づく安心感や、消費生活センターに相談できることを知るきっかけになったという意見があります。
また、配達員たちも地域住民とのコミュニケーションの機会を得て、消費者トラブルの実態に気づくことができたと話しています。リーフレットの内容が漫画形式でわかりやすいため、情報を伝えやすくなったという点も好評です。
持続可能な取り組みへ
今後も東京都では高齢者の消費者被害を防ぐために、宅配業者との連携を強化し、継続的な情報提供を行う方針です。配達時にリーフレットを手渡すことで、地域の見守り活動にも寄与しながら、高齢者の生活をより安全にするための取り組みは続いていくことでしょう。引き続き、地域の皆さんと協力しながら悪質商法を減らしていくことを目指します。