2026年卒業予定学生向けの採用CX意識調査結果の要点

株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「採用CX（候補者体験）に関する意識調査（2025）」の結果が発表されました。この調査は、2026年卒業予定の学生を対象にしたもので、採用選考における候補者体験がどのように評価されているかを探っており、特に採用プロセスへの参加意欲やその背後にある重要な評価観点を明らかにしています。

調査の背景と目的

採用CX、つまり候補者体験は、採用選考の過程で候補者が企業に対して抱く印象や評価を示します。近年、企業が採用難に直面する中で、採用CXの重要性が高まっています。しかし、候補者にどのような体験を提供すべきかは依然として不明確です。この調査は、継続的に企業と候補者とのより良いコミュニケーションを図ることを目的としています。

誠実さの重要性

調査によると、選考参加意欲に最も影響を与える要因は、「誠実さ」とのこと。特に学生たちが選考プロセスにおいて重視しているのは、誠実さ、納得感、実力発揮感です。誠実さが感じられない企業への辞退の可能性が高く、企業側が慎重にその姿勢を見せる必要があることが示されています。1位に選ばれた誠実さは、昨年の調査結果と同様であり、学生たちが企業の姿勢を鋭く観察していることを物語っています。

候補者体験の質の向上

報告書では、候補者との対等なコミュニケーションが選考参加意欲を高める上で重要であることも強調されています。例えば、面接後に「やりたい仕事ができない」と感じた学生の辞退理由が多く挙げられました。また、グループ面接やAI面接においても、評価方法に納得感がないケースが同様の影響を与えています。企業としては、これらの点を留意しつつ、適切な対応を行うことが求められます。

AI面接の受容と課題

調査では、AI面接の経験者は全体の約3割に達しましたが、依然として多くの学生が「人による評価」を望んでいます。AIによる評価に対する信頼感が欠けることから、企業はAIを活用する際は、透明性と納得感を重視しなければならないと言えます。

ネガティブ情報と候補者志望度

さらに、調査の結果、ネガティブな情報の過度な提示は候補者の志望度を下げる要因となることが示されています。学生たちの性格タイプに応じたコミュニケーション設計が不可欠と言えます。企業は、候補者一人ひとりに適したアプローチを考慮することで、志望度を維持することが可能となります。

結論

今回の調査結果は、採用活動において学生との誠実で納得感のあるコミュニケーションがいかに重要であるかを再確認させる内容でした。企業はこれを踏まえ、今後の採用戦略を見直す必要があるでしょう。また、候補者と良好な信頼関係を築くことこそが、採用活動の競争力向上につながるのです。これからの選考プロセスにおいては、AIやデジタル技術の利活用と共に、人と人との対話を大切にし、応募者に対して誠実な姿勢を持つことが重要であると、本調査から考えられます。企業の成功は、候補者とのコミュニケーションの質にかかっていると言っても過言ではありません。