慶應イノベーション・イニシアティブがファーメランタに出資し合成生物学の新時代を切り開く

慶應イノベーション・イニシアティブとファーメランタの新たな一歩

2023年に入り、慶應イノベーション・イニシアティブ（KII）が新たに注目するスタートアップの一つが、石川県のファーメランタ株式会社です。この会社は、合成生物学を駆使して天然の希少成分を発酵によって生産しています。KIIからの支援により、ファーメランタは20億円もの資金調達に成功し、自社の技術が商業化される新たなステージへと進みます。

合成生物学の革新

ファーメランタは、遺伝子工学を用いて微生物を活用した物質生産を行い、近年の持続可能な開発に大いに寄与しています。しかし、経済的な課題や技術的な壁から、商業化はまだ限られています。彼らの技術は、特に大腸菌に20を超える遺伝子を導入することで、複雑な物質を安価な原料から製造することを可能にしています。この革新的なアプローチによって、より経済的かつ環境負荷の少ない製造過程を実現し、地政学的リスクや原材料価格の高騰に対する新たな解決策を提供することを目指しています。

資金調達による未来の構築

今回の出資によってファーメランタは、複数の開発ラインを設け、試作や量産化実証を急ピッチで進めることが可能になります。そして、従来の製造手法に代わる持続可能な手段として、産業構造におけるパラダイムシフトを実現し、社会が抱える環境問題の解決にも貢献。そのための体制強化が図られています。

KIIの役割と影響

慶應イノベーション・イニシアティブは、2015年から慶應義塾大学の研究をもとにしたスタートアップを支援してきました。特に、医療や健康、デジタル技術に関する企業に重点を置いており、社会にポジティブな影響をもたらすことを目指しています。2023年には、インパクトファンドを設立し、アカデミアから発祥するスタートアップに新たなインパクト投資を行うことで、経済的リターンのみならず、社会的・環境的な貢献も目指しています。