代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)とお口の健康
研究の背景
近年、日本における肥満人口の増加に伴い、脂肪肝の有病者数は2000万人を超えています。この疾患は国際的な名称変更により、2024年からNAFLDからMASLDに変更されることが決定しました。MASLDは、生活習慣病との関連が深く、さらに深刻な結果を引き起こす可能性があるため、予防の重要性が高まっています。これまでの研究では、脂肪肝と歯周病との関係について示されていますが、口腔機能との関連性についてはあまり知られていませんでした。
研究の実施
このような背景を受けて、サンスターは自治医科大学と共同で、大切な口腔の健康がMASLDに与える影響を調べる研究を実施しました。研究対象は、自治医科大学病院で診断されたMASLDの患者19名と、健常者26名です。両グループの口腔状態を比較するために、一般口腔健康評価指標(GOHAI)を用いてQOL(Quality of Life)への影響を評価しました。また、口腔検査では、歯周病、むし歯、口の機能などが詳細に調査されました。
研究結果
1.
お口の問題とQOLの関係
研究の結果、MASLDを抱える方は、健常者に比べて明らかにお口の問題がQOLに影響を与えていることが分かりました。特に、食事や会話など日常的な機能面において有意な差が認められました。このことから、口腔の問題が生活の質を低下させる要因であることが示唆されます。
2.
MASLDと口腔の健康の関連性
MASLD患者の口腔状態は、食べる力や発音能力とは別に、口腔衛生や歯周病、しっかり噛める歯の本数において有意な差が観察されました。特に、機能歯数が多ければ多いほど、MASLDのリスクが低下することが明らかになりました。これは、噛む力が代謝機能に良い影響を及ぼす可能性を示唆しています。
お口の健康維持の重要性
本研究の結果から、口腔健康の維持がMASLD予防に寄与することが示されています。特に、歯周病の予防や口腔機能の向上が、全体的な健康に重要な役割を果たす可能性があります。これらの成果は、医科と歯科が連携しながら、トータルヘルスケアを展開する新しい方向性を示しています。今後の研究や医療現場において、口腔ケアが重要な役割を担うことが期待されます。
生活習慣の見直しがカギ
生活習慣の見直し、特にお口を清潔に保つためのケアは、MASLDだけでなく他の健康問題に対しても重要です。歯磨きや定期的な歯科受診を習慣にすることは、自身の健康を守る一歩です。口腔のケアが全身の健康に影響を与えるという視点から、日常生活に取り入れるべきアプローチの一つと言えるでしょう。
おわりに
口の健康を守ることが、未来の健康に繋がります。サンスターグループは、100年を見据えた健康寿命延伸に寄与する製品やサービスを提供し、より良い暮らしのサポートをし続けることを目指しています。口腔の健康管理をしっかりと行い、健康で豊かな人生を維持していきましょう。