八王子市、AI傾聴窓口「はちココ」開設
八王子市が新たな試みとして、生成AI技術を活用した福祉相談窓口「はちココ」を2025年2月から試行的に運用します。この取り組みは、コロナ禍以降の孤独や孤立が深刻化する現状を受けて、市民が抱える生活上の悩みや困りごとを、いつでもどこでも相談できる環境を提供することを目的としています。
背景と目的
これまで八王子市は、対面での福祉相談窓口「はちまるサポート」を設置し、幅広い相談に応じてきましたが、なかなか直接訪問しづらい方々への支援が不足していました。特に、コロナの影響により対面での訪問が難しくなった市民や、経済的困難を抱える方々は、心理的ハードルから支援を求めにくい状況に置かれています。
「はちココ」は、こうした課題に取り組むため、AIを活用し、24時間365日体制で匿名相談が可能な窓口を設けることで、支援体制の強化を図ります。
「はちココ」とは
AI傾聴窓口「はちココ」は、八王子市民に対して24時間365日、チャット形式で相談を受け付けます。このシステムは「Communication」と「Connection」をテーマにしており、利用者はいつでも悩みを気軽に相談し、適切な支援窓口へと繋がることができます。
利用方法は簡単で、八王子市のホームページや市内の相談窓口に掲示されたQRコードからアクセスできます。これにより市民は、匿名で安心して相談することが可能です。
実証実験の概要
実施期間は2025年2月3日から4月30日までの約3か月間。八王子市民を対象に、AI傾聴窓口の効果を検証し、さらに福祉窓口の認知度向上や運用の効率性も評価される予定です。
この取り組みは、従来の相談窓口では取りこぼされがちだった方々に対して、早期に必要な支援へと導くことを目指しています。また、デジタルデータを活用することで、福祉政策自体を最適化し、より多くの市民に利益をもたらすことが期待されています。
ZIAIの役割
このAI傾聴窓口を支えるのは、株式会社ZIAIです。ZIAIは、テクノロジーを用いて新たな傾聴体験を提供するAIスタートアップで、自殺対策を目的とした非営利団体からスピンアウトした企業です。同社の「傾聴AIアルゴリズム」は、複雑化する現代社会におけるメンタルヘルスの問題解決に寄与することを目指しています。
ZIAIは、2030年までに、誰もが必要なときにサポートを受けやすい社会を実現することを目指しており、今回の取り組みはその第一歩となっています。
まとめ
新たに開設されるAI傾聴窓口「はちココ」は、社会が抱える孤独や孤立の問題を解決するための、重要な取り組みです。匿名で相談できる安心感と、AIによる迅速な情報提供があれば、より多くの市民が必要な支援にアクセスしやすくなるでしょう。八王子市のこの先進的な試みに、注目が集まります。