2025年人事評価の実態調査の概要
パーソルキャリア株式会社が運営する調査機関『Job総研』が、2025年に向けた「人事評価の実態調査」を実施しました。この調査は、391人の社会人を対象に、評価制度への意識、アピール行動、その影響、AI導入の印象などについて詳しく掘り下げています。調査の結果、評価制度の改善が求められる中で、約7割の参加者が人事評価に不満を感じており、転職を検討していることが明らかとなりました。
人事評価への不満の現状
調査によると、69.6%の参加者が人事評価に何らかの不満を抱いており、特に上司の期待に応えようとした結果、アピール行動を行っていることが明らかになりました。58.6%もの人が評価のためにアピールを行う一方で、32.3%が「アピール疲れ」を感じているという実態も指摘されています。また、評価の結果としての昇格や昇給を待つよりも、転職を選ぶ意向が高まっていることも重要なポイントです。
アピール行動の影響
調査対象者にアピール行動の影響を尋ねたところ、精神的な消耗や無駄な仕事が増えるとの声が多くありました。しかし一方で、82.1%がアピールが評価に活きていると感じているという結果も得られました。このことから、評価制度に対する期待と現実のギャップが存在していることが伺えます。
転職に関する意識
人事評価に不満があると答えた65.5%の人が過去に転職を考えた経験があることも注目されます。その中でも、51.6%が実際に転職をした経験があるとのことです。これは、人事評価の結果が直接的に離職や転職につながる可能性を示しています。
AI評価への期待と不安
AIを用いた人事評価についても、調査ではその期待と不安が顕在化しています。公平性や透明性が期待される一方で、AIによる誤解や工夫・努力が見落とされることへの懸念が膨らんでいるのです。特に、51.2%の参加者がAIによる評価に「不安がある」と回答しており、68.7%が評価者にはAIよりも上司を希望するという結果が示されています。これは、AIでは見えない評価を人間が行う必要性を示唆しています。
調査結果のまとめ
2025年に向けた人事評価の実態調査からは、アピール行動が評価に与える影響や転職の意向が強く関連していることが分かりました。上司に従うことや資料の丁寧な作成など、評価を意識した行動を行う社会人が多い一方で、アピール疲れによってモチベーションが低下する可能性も指摘されています。また、AI評価に対する不安と期待が交錯し、人事評価の方法や制度の見直しが求められています。今後の人事制度においては、AIによる客観的な評価と、上司による人間らしい評価のバランスをどのように取るかが、重要な課題として浮き上がってきました。人事評価が転職行動に直接影響を与えるという事実は、企業にとっても重要な経営課題として捉えられるべきでしょう。