高効率測定システム
2025-03-19 14:19:42

新たに開発されたパワーデバイス測定システムが実現する高効率評価

新たな高周波特性評価システム



国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)物理計測標準研究部門の岸川諒子主任研究員と研究戦略企画部の堀部雅弘次長は、株式会社テクノプローブおよびキーサイト・テクノロジーと共同で、表面実装パワーデバイスの高周波特性を効率的に測定するための新しいシステムを開発しました。

パワーデバイスの重要性



パワーデバイスは大電流を速やかに切り替えることができる半導体デバイスであり、電気自動車や再生可能エネルギー、家電製品など多様な分野でその利用が進んでいます。これにより、電力の変換や制御が効率的に行われており、スイッチング周波数を高めることで、これらのデバイスや関連する電子部品(インダクターやコンデンサー)の小型化が進むとの期待があります。特に、高周波信号の反射と伝送特性を示すSパラメータは、スイッチング回路の設計において非常に重要な情報となります。

開発の背景とプローブの特徴



今回、産総研、テクノプローブ、キーサイトが共同で開発したプローブは、従来の制約を打破し、さまざまな形状の表面実装パワーデバイスの平面電極を簡便に測定できるようになっています。これにより、以前は各電極形状ごとに特別なテストフィクスチャとキャリブレーション用デバイスを必要としていた手間が大幅に軽減され、測定が簡単かつ経済的に行えるようになりました。このプローブは、50kHzから1GHzの範囲でSパラメータを測定可能です。

測定の革新性



新しいプローブシステムの利点は、まずテストフィクスチャやキャリブレーションを測定者が用意する必要が無くなったことです。電極間の長さを合致させることさえできれば、単一のプローブで多数のパワーデバイスの測定が可能となります。さらに、これまでの測定手法と比較しても、測定結果に大きな差が無いことが確認されており、性能面でも従来技術に劣らないと言えます。

今後の展望



研究チームでは、より多様なパワーデバイスに対応できるよう、プローブやプローブステーションのさらなる改良を進めていく予定です。今後は、パワーデバイスの形状を考慮しつつ、さまざまなケースに応じた新たなプローブの設計も行い、電力電子システムの小型化や軽量化に寄与することを目指しています。特に、高速動作が期待されるGaNパワーデバイスの研究にも焦点を当てることによって、次世代のパワーエレクトロニクス技術の発展を支えることが期待されています。

開発された技術は、2025年3月に米国で開催予定のIEEE Applied Power Electronics Conference and Expositionで発表されます。また、国内向けはテクノプローブ、海外向けにはT Plus Co. Ltd.から販売される予定です。本システムの導入によって、より効率的なパワーデバイスの評価が可能となり、電気自動車や再生可能エネルギーの発展に寄与することが期待されます。


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