メルカリの言語戦略 - 組織文化構築の秘訣
企業の在り方は、社員の多様性にどれだけ対応できるかによって大きく変わります。株式会社メルカリは約55カ国から外国籍社員を迎え入れ、全体の約30%を占めています。この多様な国籍・文化背景を持つ社員と共に、メルカリがどのようにして効果的な組織文化を築いているのかを探る書籍、『組織文化をつくる言語戦略』が2025年9月30日に刊行されます。著者の親松雅代氏は、メルカリのLanguage Education Teamに所属する言語教育の専門家であり、今回が初の著書となります。
言語教育が組織文化に与える影響
近年、生成AIによって言語の壁は徐々に低くなりつつありますが、それでもまだ見えない価値観や考え方の違いによる課題が存在します。本書は、これらの問題が言語の違いに起因するものではなく、実際にはコミュニケーションそのものの構造から生じることを指摘しています。メルカリのように多様な人材が集う職場において、こうした課題にどう向き合うべきなのかを提示しています。
組織文化を形成する言語教育
本書では、まず採用後に直面するギャップを取り上げ、言語教育や研修の設計を再考し、効果的な学習デザインの方法を模索します。続いて、社内公用語としての「やさしい日本語」や「やさしい英語」を用いたコミュニケーションの合理性について詳しく説明し、共通言語として日本語が持つ役割を再考します。さらに、言語教育がダイバーシティ&インクルージョンにおけるコミュニケーションギャップをどのように解消するかに焦点を当て、最後に言語教育を経営戦略にどう結びつけるかを提案します。
各章の内容
本書は5つの章から成り立っており、各章では専門家との対談を通じてさまざまな観点から言語戦略を掘り下げます。
- - 第1章では、採用後に出現するギャップに関する研修設計について考察。日本語教育専門家の来嶋洋美氏との対談を収録。
- - 第2章では、コミュニケーションの中で「やさしい日本語」と「やさしい英語」がどのように役立つかを解説。名城大学の藤原康弘氏との対談を掲載。
- - 第3章では、日本語がユニバーサル言語として機能するための課題について、一橋大学の庵功雄氏との対談を交えながら考察します。
- - 第4章では、言語教育がD&Iへのコミュニケーションギャップをどう克服できるかを探り、東海大学の山本志都氏との対談を行います。
- - 第5章では、言語教育を「研修」ではなく「戦略」と位置付け、経営施策としての重要性について立教大学の中原淳氏との対談を収録。
誰に読んでほしいか
本書は、多国籍な社員を抱える企業の人事や研修担当者、さらには言語教育や異文化理解に関心のあるビジネスパーソンに向けています。具体的な実践例を通じて、言語戦略が企業における経営課題としてどのように機能するかを理解できる内容となっています。
発行情報
- - 書名: 組織文化をつくる言語戦略
- - 著者: 親松雅代(メルカリ Language Education Team)
- - 発行日: 2025年9月30日
- - 価格: 2,240円(税込)
- - ISBN: 978-4-384-06118-5 C2034
- - 出版社: 三修社
- - 電子書籍あり
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