がん早期発見を実現する小型センサの登場!
東京都立産業技術研究センター(都産技研)がこのたび発表した新しい小型センサは、がんの早期発見や治療のモニタリングに大きな期待を寄せる技術です。このセンサは、がん細胞で特に活発に生成される「Heat Shock Protein 90(HSP90)」というタンパク質を検出するために設計されています。
HSP90は、正常な細胞にも存在しますが、がん細胞においてその濃度は高くなります。そのため、このHSP90を測定することで、特定のがんに限らず、幅広い種類のがんの兆候を早期に察知することが可能です。
技術の革新性
従来、がんマーカーの測定には大型機器や複雑な操作が付き物でしたが、今回の新技術ではわずか8mm四方の小型センサチップでHSP90を迅速に検出できます。特にこの小型センサは、特別なペプチドを用いてHSP90を鍵と鍵穴のようにキャッチし、光による物質の付着を検知する仕組みを採用しています。これにより、ユーザーは簡便にがんマーカーの測定を行うことが可能になります。
この小型センサは、高感度も特徴です。検出限界は0.75 μg/mLであり、がん患者の血中濃度域(数百μg/mL)にも対応しているため、信頼性の高い測定が実現されています。将来的には、手のひらサイズのデバイスとしても可能性が期待されており、自宅での健康管理にも役立つことでしょう。
公表された論文と今後の展望
この技術に関する詳細は、『Plasmonics』誌に2025年11月13日に掲載されます。論文タイトルは「Peptide-Functionalized Localized Surface Plasmon Resonance (LSPR) Sensor for Label-Free Detection of HSP90」で、著者には望月和人氏、瀧本悠貴氏、中川朋恵氏、月精智子氏が名を連ねています。
論文リンク
都産技研では、この技術の社会実装を進めるため、製品化を目指す企業との共同研究を推進しています。この画期的な技術が広がれば、在宅医療でのがんの早期発見や治療モニタリングが現実となり、多くの人々の健康を守る助けになることでしょう。
お問い合わせ
興味のある方は、東京都立産業技術研究センターまでお気軽にお問い合わせください。今後の進展にぜひご注目ください。