東京の地方独立行政法人である東京都立産業技術研究センター(通称:都産技研)が、海洋生分解性プラスチックのフィールド試験を2025年9月1日から開始します。この試験では、実海域におけるプラスチックの分解度を、最新の国際標準規格ISO16636に準拠して測定します。海洋プラスチックごみ問題への対策が急務とされる中、この新しいサービスは生分解性プラスチックのメーカーや利用を検討している企業にとって、非常に重要な情報を提供します。
フィールド試験の背景
現在、海洋プラスチックごみが大きな問題となっている中で、海洋生分解性プラスチックの普及が期待されています。ただし、その効果を証明するためには、室内試験(ラボ試験)だけでなく、実際の海洋環境での結果を客観的に求める声が高まっていました。
海洋生分解性プラスチックとは
これらのプラスチックは、海洋中の微生物によって最終的に二酸化炭素および水にまで分解される素材です。これにより、環境への負荷を軽減することが期待されています。
ISO16636準拠のフィールド試験の意義
このフィールド試験にはいくつかの利点があります。
1.
リアルな環境データの取得
ラボ試験では再現できない実際の環境の影響を受けるため、より正確なデータが得られます。
2.
国際的に通用するエビデンス
最新のISO16636に基づくデータは、国内外の取引先や消費者に対して、環境性能を客観的に示す強力な証明となります。
都産技研は、2025年5月に発表された国際規格の提案にも協力しており、その知見を活かして高品質な試験を提供します。
フィールド試験の詳細
試験は東京湾で行い、3ヶ月間浸漬活動を行います。具体的には、浸漬前後の重量や厚みの変化によって分解率を算出します。例えば、1ヶ月及び2ヶ月後のデータを取得するためには、中小企業で約8万円、一般企業では約16万円で手続きが可能です。
研究発表会のご案内
この新サービスの開始に伴い、2025年9月4日および5日に、都産技研本部で研究発表会が開催されます。そこでは、東京湾で行われた3つの樹脂に対するフィールド試験の結果が発表され、具体的な試行結果について紹介される予定です。
このフィールド試験サービスは、環境への配慮が求められる現代において、製品開発を行う企業にとって非常に有益な情報源となるでしょう。海洋生分解性プラスチックの信頼性を高めることは、環境問題への取り組みを、一層進めることにつながります。