セメント製造業界における新たな挑戦
UBE三菱セメントは、セメント製造における二酸化炭素(CO₂)排出削減を目指し、山口県宇部市の工場にてアンモニアを熱エネルギー源として利用するという世界初の商業規模での実証試験を開始しました。これは、セメントキルンにおいて石炭の代替としてアンモニアを混焼させる新技術の実現に向けた第一歩となります。
アンモニアの可能性
アンモニアは、燃焼時にCO₂を排出しないという特性から、次世代のエネルギー源として注目されています。UBE三菱セメントは、石炭の熱量の30%をアンモニアに置き換えることを目標に、長年の研究と実験を重ねてきました。これにより、セメント製造プロセスに革新をもたらすことが期待されています。
実証試験の背景
2023年、同社は実機設備での混焼試験を開始し、実証試験用のアンモニア供給体制も整備しました。2025年には設備工事を終え、初の商業施設での実証フェーズに突入します。これにより、セメント製造時の工程において、より環境に優しい方法を実現する計画です。
技術的な挑戦
しかし、アンモニアの混焼には技術的な課題もあります。混焼率が高まると、バーナーの火炎温度が下がり、クリンカ焼成に影響が出る恐れがあります。また、NOx(窒素酸化物)の排出量増加も懸念されています。UBE三菱セメントは、小型燃焼炉を活用した実験やシミュレーションを行い、最適な燃焼制御技術を確立します。これにより、廃棄物燃料を利用したハイブリッドなセメント製造へと向かう道筋を描いています。
さらなる展望
同社は、2030年と2050年を見据えた中期経営戦略「Infinity with Will 2025」に基づき、地球温暖化対策を最重要課題として位置づけています。原料由来のCO₂回収技術(CCUS)やカーボネーション技術の開発、さらに水素・CO₂からメタン合成するメタネーション技術の研究にも取り組んでおり、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
まとめ
UBE三菱セメントの新たな挑戦は、セメント製造業界に革新をもたらし、持続可能な未来へとつながる重要な一歩です。今後も、カーボンニュートラルの実現に向けた新技術の開発や、循環型社会の形成に向けた取り組みを強化していくことでしょう。時代の変化を先取りし、新たなエネルギーの潮流を作り出す同社の動向に注目が集まります。