東京工科大学、NVIDIA DGX AIスーパーコンピューター導入
東京都八王子市にある東京工科大学が、NVIDIA(エヌビディア)の最新技術を活用して、日本の私立大学として初めてとなるAIスーパーコンピューターを構築しました。2023年10月に本格稼働する予定のこの設備は、国内で最大規模のAIインフラを提供し、同大学の「AI大学」構想を加速させるものです。
AIスパコンの特長
今回導入されたのは、NVIDIA DGX B200システム。このスパコンは、生成AIや大規模言語モデルといった計算負荷が高いAIワークロードに特化した性能を持ち、最新のGPUアーキテクチャおよびAI Enterpriseソフトウェアを搭載しています。東京工科大学では、12台のDGX B200を高速のNVIDIA Quantum InfiniBandネットワークで接続し、計算能力は0.9EFLOPS(1秒間に900京回の計算)が可能になる見込みです。
AIデジタルヒューマンの開発
大学のICT部門では、学生が手掛けるAIデジタルヒューマン“KIANA”の開発も進行中です。このプロジェクトでは、3DCGを用いたリアルな女性キャラクターのデザインと、自然言語での会話機能を持つインターフェースを目指しています。これにより、学生は実践的なAIスキルを身につけることができるでしょう。
学生の実践的トレーニング
東京工科大学の生野教授は、小規模な学習環境では学生の成長が限られると考え、大規模なAI学習が必要だと強調しています。最新のデータドリブン型アプリケーションの環境整備や、産業界との連携プロジェクトを通じて、学生は多様な経験を積むことができ、これが将来的に優れたAI人材の育成に繋がると期待されています。特に、AI Ethics(AI倫理)の実践教育が重要視されており、全ての学部の学生にこの学びを提供するための基盤も整備されています。
今後の展望
東京工科大学では、AIスパコン導入を受けて、複数のプロジェクトの実施を計画しています。具体的には、AI技術を実装し産業界に即戦力となる人材を育成するプログラムの提供、専用の大規模言語モデルの活用、AI倫理およびガバナンス環境の整備、デジタルツインプロジェクトを通じた革新的な研究などが挙げられます。
AI教育のプロフェッショナルとしての使命
香川豊学長は日本のAI教育の遅れを指摘しつつ、東京工科大学が「AI as a TOOL」を基に、次世代に必要なスキルの習得を促進することを使命としていると語ります。また、NVIDIAの日本法人との連携により、生成AI、ロボティクスなど多岐にわたる学習機会を学生たちに提供し、彼らが社会に出た際にAIを適切に活用できるような教育環境を築くことを目指しています。
リーダーシップをもってAI教育を推進する東京工科大学は、未来の社会に貢献できる人材を育成し続けることで、国内だけでなく国際的なAI分野でも重要な役割を果たすことが期待されています。技術者を育てるだけでなく、学生一人一人が未来の社会で直面する課題解決に積極的に関与できるような教育を施し、社会的な影響を強めていく方針です。