電通総研と電通、「新たな事業創出とR&Dの関係性に関する調査」の概要
最近、株式会社電通総研と株式会社電通は、企業の研究開発(R&D)部門についてその実態を調査する研究を行いました。この調査は、R&D部門が企業の新たな事業や製品企画にどのように貢献しているのか、またどのような課題を抱えているのかを探ることを目的としています。調査対象は、760名の企業のR&Dおよびその他の事務系部門の従業員であり、調査は2025年5月16日から21日にかけて実施されました。調査の結果、企業の取り組みの成果がどのように見えているのか、具体的なデータが得られました。
調査の主な結果
調査結果から浮かび上がったファインディングスは興味深いものです。まず、企業がR&D部門に期待している役割は、スピーディな研究開発やグローバルな技術の開発、そして実際の事業成果につながる研究の推進が上位に挙げられました。しかし、これらの期待に対する実際の貢献度は低く、ギャップが明らかになりました。
総じて、自社で新事業や製品企画に取り組んでいると感じている従業員は74%に達する一方、実際に成果が上がっていると答えた従業員は僅か20%に過ぎません。一方で、新たな事業創出にR&D部門が「非常に貢献できている」と実感しているのは、全体の12.4%にとどまるとの結果が出ています。
成果実感の差
調査結果を更に掘り下げると、成果が上がっている企業の従業員は、R&D部門の積極的な貢献を実感できていることがわかりました。特に、成果が上がっていると答えた従業員は、R&D部門が果たす役割について約4倍も高い評価を下しています。このことは、成功を実感している企業ほど、R&Dの活動が重要であると考えられる要因の一つといえます。
R&D部門の特徴
調査により、成果が上がっている事業におけるR&D部門には5つの共通点がありました:
1. 中長期的な研究戦略が社内で共有されている。
2. 社内外で自社の技術への理解が深い。
3. 顧客ニーズへの強い理解がある。
4. R&D部門が新たな事業創出に主導的に関与している。
5. 社外のパートナーと効果的に連携できている。
これらの特徴が新しい事業創出の成功に大きく寄与しているという点は、企業が今後の展望を描く上で非常に重要です。
調査の意義と今後の展望
電通総研と電通は、この調査結果を踏まえ、企業の技術価値を事業創出へとつなげる「R&D For Growth」プログラムの提供を今後も強化していく方針です。企業が新たな事業を生み出すためには、R&D部門の役割を見直し、その活動を進化させていくことが鍵となります。これにより、企業はさらなる社会の進化に寄与することができるでしょう。
調査の詳細については、電通の公式サイトまたは電通総研のページをご覧いただき、ぜひご確認ください。