和光会グループが最優秀賞を受賞した背景とは
岐阜県岐阜市に拠点を持つ和光会グループが、2025年の全国ワークスタイル変革大賞東海・北陸大会で最優秀賞を獲得しました。これは、創業100周年を迎える同グループが展開した「誰も取り残さないDX」と題されたプロジェクトの成果です。医療・介護業界が抱える課題を解決し、持続可能な働き方を実現するために導入された数々の取り組みが注目されています。
デジタル変革の必要性
医療・介護の現場におけるデジタル化は、これまでも必要性が唱えられていました。しかし、職員のITアレルギーや新しいツールへの抵抗感、紙に依存したマニュアル管理が大きな壁となっており、将来の世代に向けた教育コストの増大が懸念されていました。和光会グループは、その課題を克服するために、専門のDX推進課を設置し、既存の業務水準を維持しつつIT基盤の整備を図ることにしました。
クラウド化による業務効率化
和光会グループの最も大きな成果は、2000本以上の紙マニュアルをクラウド化したことです。この過程で、若手職員を「推進員」として任命し、彼らがツールの使い方を教え合う文化を促進しました。この取り組みにより、マニュアルにかかる検索時間や新人教育の時間が大幅に削減されました。結果として、法人全体で年間84,240時間もの業務効率化を達成し、それが職員の「やりがい」アップにつながっています。
地域貢献へとつながる好循環
業務の効率化によって生まれた時間は、地域貢献活動にも充てられ、小中学校への出前授業などに参加する機会を創出しています。このように、業務改善が単なる効率化にとどまらず、地域社会への貢献や職員の働きがい向上に寄与する好循環を生んでいるのです。
審査員が評価した点
和光会グループが評価されたポイントは、医療・介護という業界でのDX推進が特に難しい中、2000本以上の紙マニュアルを着実にクラウド化したことです。また、プロジェクトをトップダウンで終わらせず、現場からの発信を重視し、若手職員が主体的に関与する文化を育んだことも高く評価されました。
他の受賞企業も注目に値します。優秀賞の一般社団法人aiyueyoは、農業の課題に焦点を当て、DXを活用して新しいワークスタイルを提案しました。また、サンメッセ株式会社のリアルタイム原価管理システムも評価され、業界内の抱える問題を技術で解決しようとする姿勢が見られました。
今後の展望
和光会グループは、12月16日に開催される全国大会に東海・北陸エリアの代表として出場します。彼らの取り組みが全国的に知られることで、同業界でのDXの推進がさらに広がることが期待されています。全ての職員が一丸となって進めるこの取り組みは、他の企業にとってもモデルケースとなるでしょう。
結論
和光会グループの成功事例は、デジタル化が業務の改善にとどまらず、働きやすさと地域貢献を両立させる可能性を示しています。この取り組みは、今後の医療・介護業界の未来を明るく照らす一筋の光となることでしょう。