陶磁器の破壊と再生が織りなす美を見つめる個展開催中
東京都港区の南青山に位置するYUGEN Galleryでは、写真家・蓮井幹生の個展『朽ちゆく果てにも美は宿る』が開催されています。この展示は2025年2月2日まで行われており、破壊された陶磁器から生まれる新たな美の形を探求しています。
蓮井幹生は、1955年に東京都で生まれ、広告分野でアートディレクターとしてのキャリアを積んだ後、1988年に写真家へと転向しました。彼の作品は商業的なフィールドでの成功にとどまらず、自然や景観に対する深い洞察にも満ちています。特に1990年代以降、彼はパノラマカメラを使用した《PEACE LAND》や、霧に包まれた阿蘇山を捉えた《HIDDEN LANDSCAPE》を通して、風景写真の新たな可能性を示しました。
今回の展覧会では、石川県小松市に位置する九谷焼の名窯「錦山窯」との特別なコラボレーションが注目されています。この窯は110年以上の歴史を持ち、蓮井は地震によって破壊された陶磁器の作品を撮影しました。蓮井が捉えたその瞬間には、陶磁器が持つ伝統的な美と自然の不条理が共鳴しています。
蓮井の作品を通して感じられるのは、形が失われてもその中に残る美しさです。「なぜ美を感じるのか?」という問いに対する彼の答えは、心の奥底に秘めた感覚を刺激します。これが彼の作品の魅力であり、訪れる人々を引き込む要因となっています。
開催概要
- - 期間:2025年1月18日(土)〜2月2日(日)
- - 開館時間:
- 平日:13:00〜19:00
- 土日祝日:13:00〜20:00
- 最終日のみ:17:00終了
- ※入場は閉場30分前まで
- ※会期中無休
- - 場所:YUGEN Gallery
- - 住所:東京都港区南青山3-1-31 KD南青山ビル4F
- - 入場料:無料
また、すべての作品はYUGEN Galleryの公式サイトで販売され、一部の売上は能登半島地震の復興支援に寄付されます。
アーティスト・蓮井幹生について
蓮井幹生は、幼少時代から写真に親しんだ背景を持ち、多くのアートディレクションを経て、独学で写真の道を追求しました。彼の活動は広範で、ファッションやドキュメンタリー、ムービー撮影など多岐にわたります。2000年代以降にはムービー撮影にも進出し、PVやCM制作も行ってきました。また、彼の作品はフランス国立図書館や東京工芸大学に収蔵されており、国際的にも高い評価を受けています。
YUGEN Galleryの活動
YUGEN Galleryは、2022年に設立され、現代アートの発信地として多くの刺激的な展示を行っています。日本の美的概念「幽玄」をテーマに、その魅力を広く伝えることを目的としています。
南青山と福岡に拠点を持ち、リサーチや展示活動、オンライン販売などを通じて、現代アートの発展に貢献することを目指しています。
この機会に、ぜひ蓮井幹生の作品を直接体感してみてはいかがでしょうか?彼が捉える美の再生の旅に出かけてみてください。