CAN-PANY: 新しいボトリング文化の幕開け
清澄白河に誕生した都市型ボトリング工場「CAN-PANY」は、2023年5月にその扉を開きました。この場所は、ただの飲料の製造・充填工場ではなく、コミュニティとの結びつきを大切にした新たな試みが詰まっています。特に、2025年度グッドデザイン賞で「グッドデザイン・ベスト100」に選出されたことは、このプロジェクトが持つポテンシャルを象徴する出来事と言えるでしょう。
「CAN-PANY」の特長
CAN-PANYは「小ロット」「ノンアルコール」「コラボレーション」をキーワードに、さまざまな飲料を製造している工場です。特に注目すべきは、製品の機能性とデザイン性が両立している点です。透明な壁で覆われたこの工場では、訪れる人々が製造プロセスを目にすることができ、「作る」ことの楽しさを体験できる仕組みが整っています。
この工場では、旬の素材を使った炭酸飲料や新しいレシピのモクテルなどが次々と生まれています。全国の生産者やシェフ、バーテンダー、アーティストなど、さまざまなクリエイターとのコラボレーションを通じて、オリジナル商品だけでなく、共同開発による新しい飲料も提供しています。
「CAN-PANY」の理念
このプロジェクトの名称は、「充填する仲間」を意味する造語の「CAN-PANY」です。人々が集まり、共にものを創り出すという理念が根底にあります。至るところに設置された透明ポリカーボネート素材が、訪問者に開かれた空間を提供し、工場とコミュニティの垣根を取り払っています。これは、製造現場のイメージを刷新し、透明性と信頼感を高め、地域社会をより良くするための新しいモデルです。
なぜ受賞したのか?
グッドデザイン賞の審査委員からは、CAN-PANYの試みが「街に開かれた飲料工場」として高く評価されました。従来の工場が持つ閉鎖的なイメージを払拭し、製造、充填、販売を一体化した動線が訪問者にとっての新たな体験を提供しています。これにより、製品の背景を直接体験する機会が生まれ、コミュニティの形成につながっています。
また、地域の特産品を活かした飲料の製造や、クリエイティブなコラボレーションは、他にはない独自の文化を形成しています。この分野の新たな可能性を示唆するデザインが評価され、グッドデザイン・ベスト100に選出されました。
CAN-PANYの未来
運営を担うmitosayaは、千葉県夷隅郡大多喜町を拠点に、自社で栽培した果樹やハーブを用いた飲料の製造に取り組んでいます。さらに、東洋製罐が提供する「Future Foods Labo.」というサービスを通じて、少量からのトータルサポートも行い、今後の展開が期待されています。
東洋製罐株式会社は、包装容器を通じた社会的な使命を持ち、飲料市場においても新しい用途の開発を目指しています。CAN-PANYの成功は、単なる工場の枠を超え、創造的な産業空間の好例として、今後の展望に希望を抱かせるものです。 つくる楽しさと新しいコラボレーションを体験しに、ぜひ清澄白河の「CAN-PANY」に足を運んでみてください。