企業の産業医交代が進む理由とその影響とは

近年、企業が健康経営に注力する中で、産業医の役割が重要視されています。実際、エムスリーキャリア株式会社が行った調査から、企業における産業医の交代が進んでいることが明らかになりました。その結果、6割以上の企業が産業医の交代を検討しており、特に500名以上の企業ではその割合が増加する傾向が見られます。これらのデータをもとに、産業医交代の実態について考察します。

調査の背景と概要

エムスリーキャリアは、2025年1月に全国の企業の産業保健担当者1,318名を対象に「健康経営と産業医の活用・選任に関する市場調査」を実施しました。この調査は、経済産業省が推進する「健康経営優良法人2025」の認定企業数が過去最多を記録する中で、企業の健康経営への意識の高まりを受けたものです。産業医は労働衛生の専門家として、従業員の健康管理に関与する重要な存在です。

産業医の交代検討実態

調査によると、65.4％の企業が産業医の交代を検討した経験があり、その内86.2％が実際に交代を実施しています。また、従業員規模が大きい企業ほど交代を考える傾向が強く、500名以上の企業ではその割合が70％を超え、さらに1,000名以上の企業では76.9％に達しました。これは、企業が自社のフェーズに応じた産業医を求めていることを示しています。

交代を検討する理由とは

産業医の交代を検討する理由は多岐にわたりますが、最も多かったのは「医師の都合」（47.5%）であり、次いで「医師への不満」（42.6%）が続きました。特に、大企業では「医師の都合」が上位を占めている一方、中小企業では「医師への不満」が主な理由となっており、企業の規模によって理由が異なることがわかります。