高橋松亭と川瀬巴水による日本の技と美
東京・大田区にある大田区立郷土博物館では、令和7年に高橋松亭が没後80年を迎えることを記念し、特別企画展「高橋松亭×川瀬巴水―日本の技と美―」が開催されています。この展示は、浮世絵という日本が誇る伝統美術がどのように発展してきたかを知る貴重な機会です。
浮世絵と新版画の歴史
江戸時代に始まった浮世絵は、国内外で大きな影響を及ぼしてきましたが、その伝統技術は大正時代に新たに生まれた「新版画運動」に受け継がれました。その立役者が版元の渡邊庄三郎で、彼はオリジナルの版画を制作するための資金調達を行う中で、高橋松亭に新作版画の制作を依頼しました。松亭の作品は、国内外においても高く評価され、以降の新版画の制作活動の基盤となります。
本展では、松亭が最も充実していた時期に制作した風景版画と、その頃大田区内に住んでいた川瀬巴水の作品が同時に展示されます。これにより、江戸時代から昭和にかけての日本の美術の変遷を感じることができるでしょう。
展示内容と見どころ
本展には、高橋松亭と川瀬巴水それぞれの代表作が初期から晩年に至るまで一堂に展示されています。特に注目すべきは、共通テーマ「大田区の風景」や「富士山」に基づいて、両者の作品を見比べることができる点です。また、関連展示として「高橋松亭×川瀬巴水―いのち、いろどる―」もあり、風景だけでなく、人物や動物、植物に至るまで多様なモチーフを生き生きと描く二人の作品が並びます。
特別催事とイベント
さらに、展示に関連したさまざまな催事も用意されています。講演会や摺りの実演、学芸員講座など、アートをより身近に感じることができる機会が豊富です。また、「芸術さんぽ」と題したまち歩きイベントや、外国人向けの解説会も行われ、多様な視点から作品を楽しむことができます。
開催概要
- - 開催期間: 10月7日(火)~11月24日(月・休)
- - 観覧料: 無料
- - 開館時間: 午前9時~午後5時
- - 休館日: 月曜日(祝・休日は開館)
大田区立郷土博物館の公式ウェブサイトには、展示の詳細や催事の情報が掲載されています。日本の伝統美術を身近に感じられるこの機会をお見逃しなく、ぜひ足を運んでみてください。