新卒3年未満の転職に関する調査結果
近年、若手社員の転職に対する考え方が変化しています。株式会社プロフェッショナルバンクのHR研究所は、30歳から34歳の正社員を対象に「新卒3年未満の転職とキャリア形成への影響」に関する調査を実施しました。
調査の背景
新卒で入社して3年未満に転職を考えることは、従来「我慢が必要」とされがちですが、実際の調査結果では転職がポジティブなキャリアの選択肢とされています。特に、IT・通信業界では、転職を前向きに受け入れる傾向が強まっています。今回は、この調査を通じて、若手社員のキャリア意識に迫ります。
調査概要
調査は、2025年7月12日から15日までの間に実施され、954人から有効な回答を得ました。対象は、30代前半の年収500万円前後の正社員で、以下の2グループに分けて分析を行いました。
1. 新卒で入社して3年未満で転職経験がある層(505名)
2. 転職経験がない層(449名)
主な調査結果
1.
年収とキャリア満足度
転職経験者と未経験者の年収には大きな差はないものの、転職未経験者には若干高年収帯の人が多いことが分かりました。また、管理職比率は転職経験者の方が高く、転職がキャリア加速の一因である可能性が示唆されました。キャリア満足度は、一方のグループがやや高く、転職経験者は70%がポジティブな評価を示しました。
2.
転職に対する考え方
転職未経験者は現職に満足している層が多く、「転職活動が面倒」や「リスクがある」とする理由で留まっている傾向にあります。一方、転職経験者は待遇面の向上を求めており、労働条件や仕事内容の不一致から転職を決断するケースが目立ちました。
3.
転職から得られる成果
転職経験者は、「働きやすさの向上」「年収増加」「新しいスキルの習得」を求めて転職した結果、約9割が「転職して良かった」と評価しています。このように、多くの若手社員が自身のキャリアにおいて、前向きな意識を持つようになっています。
転職市場の変化と今後の展望
調査の結果、転職に対する意識は二極化していることが明らかになりました。しかし、両者ともに共通しているのはキャリア成長を強く意識している点です。企業側は、こうした若手社員のニーズを理解し、働きやすい職場環境を整えることで、より優秀な人材を確保する必要があります。また、転職が自身のキャリア形成において重要な選択肢であることが広まる中、企業は新しい人材戦略を模索することが求められるでしょう。
まとめ
今回の調査を通じて、新卒3年未満の若手社員の転職傾向や意識が浮き彫りとなり、キャリア形成における転職の役割が再認識されました。若手社員の多様なキャリア観と企業の理解が、今後の労働市場において重要な鍵となります。