福岡市での次世代熱中症対策
福岡市中央区に拠点を置くビーインベンター株式会社が、2026年7月から福岡市が進める実証事業の一環として、建設現場におけるAI熱中症予測システム「DasSenseH」の実証実験を開始しました。これは、4名の作業員を対象に、AIによる熱中症リスクの予兆検知とリアルタイム通知の有効性を検証するもので、約4か月間にわたって行われます。
深刻な熱中症リスク
近年、日本では平均気温が上昇しており、特に2024年には+1.48℃の正偏差が記録されました。このことに伴い、職場での熱中症による労働災害は急増し、2024年には死傷災害が1,257件に達しました。これらの災害の約4割は建設業と製造業で発生し、特に建設現場では、作業員の体調をリアルタイムで把握することが難しいため、体調不良の兆候に気づいた頃には症状が進行しているケースも少なくありません。現場の責任者も、「我慢が常態化している」との意見を示しており、AIシステムによる新たなアプローチが期待されています。
AI熱中症予測システム「DasSenseH」の機能
「DasSenseH」は、建設現場や道路工事、警備など、さまざまな職場での活用を想定しています。特に、作業員が使用するヘルメットに後付け可能なセンサーを活用し、体温やWBGT(暑さ指数)などをリアルタイムで収集します。これにより、AIは作業環境や作業強度、個人の身体情報を統合して解析し、数時間先の熱中症リスクを予測することができるのです。
1. AIによる予測アルゴリズム
従来の熱中症対策が気温の基準に基づいていたのに対し、DasSenseHは作業者のリアルタイムな状態を学習し続けることで、個別に最適化されたリスク評価を行います。これにより、危険が高まる前に必要な予防措置を講じることが可能になります。
2. リアルタイム通知システム
AIが高い熱中症リスクを検知した際には、管理者に即座に通知が送信され、特定作業員の危険度が表示されるため、迅速な対応が可能です。これは、従来の自己申告や周囲の気づきに頼る受け身の管理からの大きな進化を意味します。
3. クラウドによる一括管理
また、「DasIoT」との連携により、複数の現場や作業員の状態を一元管理することができ、異常が発生した際には迅速に状況を把握することができます。ダッシュボード上で作業員ごとの体温推移や熱中症リスクなどを視覚的に確認できるため、安全管理業務の効率化にも寄与します。
ビーインベンターの目指す未来
ビーインベンターは、AI技術やIoTを活用し、建設業界の安全管理を革新するスタートアップです。「現場の安全を、テクノロジーで変える」をテーマに、熱中症対策や事故防止に努めています。代表のハリー・チャンは、「私たちの目指すところは事故を未然に防ぐことであり、そのためにAIを利用して危険の予兆を捉えたい」と意気込みを語っています。
結語
今回の実証実験は、福岡市における先進的な熱中症対策の一環として注目されています。建設業界だけでなく、物流や製造、自治体など、屋外で働くすべての方の安全を守るための有効なソリューションに成長することを、私たちも期待しています。