自治体DX推進の遅れとその背景を探る
テックタッチ株式会社が行った調査によれば、自治体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展が、民間企業に比べて遅れていると感じている職員が約4割に達していることが明らかになりました。この調査は、自治体のIT・情報システム部門に従事する管理者やシステム担当者111名を対象に実施されました。
調査の焦点と結果
調査では、自治体の職員が日常的に直面しているシステム導入や運用の課題について明らかにされました。約4割が自組織のDXが民間企業に比べて進展が遅いと実感しており、それに伴い「予算制約」が68.3%、次いで「IT専門人材不足」が63.4%との回答が多く見られました。
DX推進の遅れの要因
人事異動とノウハウ断絶
特に、3~4年周期の人事異動がノウハウの継続性を欠かせる要因として指摘されています。職員のITスキルの格差も無視できず、54.1%が新システム習得の大きな課題と感じています。様々な職員のITリテラシーにばらつきがあるため、教育やサポートが必要ですが、そのためにかかる時間も職員の負担となっています。
日々の業務に支障をきたすシステム
調査の中で最も時間を費やしている業務システムは「文書管理システム」で26.1%、次いで「庁内ポータル/グループウェア」で22.5%となっています。特に、文書管理システムへの依存度が高く、3時間以上使っている職員が61.5%にのぼります。こうしたシステムの運用が業務効率の低下を招いている状況ですが、サポート体制や教育体制の整備が急務であると言えます。
SaaS導入の現状
一方で、約6割の自治体が何らかのSaaSを導入していることも確認されました。導入の多くは1種類または4種類であり、これが普及の兆しとも捉えられます。ただし、セキュリティポリシーとの整合が難しいという課題もあるため、これらの取り組みが形骸化しないようにする工夫が求められています。
期待される操作支援機能
職員たちは「リアルタイムサポート機能」や「自動表示マニュアル」といった業務システムの機能に対して、高い期待を寄せています。特に「習得の時間短縮」や「引き継ぎ負担の軽減」に効果が期待されることから、これを実現するための技術的な整備が求められています。実際、職員たちが特に要望する機能は「システム内での自動回答」や「ポップアップでの案内」など、即時のサポートを提供するものです。
まとめ
自治体のDX推進には多くの課題がありますが、その背後には組織文化や制度の硬直性、ITリテラシーの格差が横たわっています。このような状況下で、システムの使い方やトレーニングの質を向上させるためには、現場の声を反映したリアルタイムサポートや適切な教育体制が必須です。今後は、技術の力を上手に活用し、業務環境の改革を進めていく必要があるでしょう。
本調査の詳細は
こちらからダウンロードできます。