夏風邪の予防と対策―症状の違いを理解して健康を守る

今年の夏も厳しい暑さが予想されています。エアコンをしっかり運転させながら、熱中症や夏バテに気をつける必要がありますが、忘れてはいけないのが夏風邪です。特に、室内外の温度差や睡眠環境が影響を与えるこの季節は、風邪を引きやすい条件が揃っています。そこで、夏風邪の特徴や予防法について、内科医の久住英二先生にお話を伺いました。

夏風邪と冬風邪の違いとは？

「風邪」と一口に言っても、夏に流行する夏風邪は冬に見られる冬風邪とはその特性が大きく異なります。冬風邪は肺炎ウイルスやインフルエンザウイルスが主な原因で、咳やのどの痛み、発熱などの典型的な呼吸器症状がよく見られます。冬は空気が乾燥しているため、飛沫感染が主な感染経路となります。

一方、夏に流行する夏風邪は、アデノウイルスやエンテロウイルスなど湿気に強いウイルスが多く、腹痛や下痢を伴うことが多いのが特徴です。これらのウイルスは通常、糞便や唾液に含まれ、つり革やドアノブなどを介して広がります。従って、手洗いそのものが特に重要です。感染を避けるには、食事前には必ず手を洗う習慣を付けることが不可欠です。

夏風邪の主な症状とその理由

夏風邪は特に「だるい」と感じることが多いと言われています。その理由は、夏特有の環境にあります。夏は高温多湿のため、私たちの体力は消耗しやすく、また冷房による温度差が自律神経に負担をかけます。加えて、熱帯夜による睡眠不足、食欲不振、発汗による塩分喪失なども重なり、体力が低下してしまいます。これらの要因が組み合わさることで、夏風邪にかかった際に特に疲労感を感じやすくなります。

夏風邪予防に役立つ栄養素とは

夏風邪を予防するためには、栄養の摂取と生活リズムの見直しが重要です。特にタウリンやビタミンC、亜鉛、ビタミンB群などが挙げられます。これらは免疫力を高め、身体の抵抗力を支える役割を持っています。

例えば、

- タウリンは、魚介類に多く含まれ、細胞の浸透圧を調整するほか、自律神経を整える働きがあります。
- ビタミンCは、抗酸化作用を持っており免疫力の向上に寄与します。ゴールドキウィやブロッコリーが効果的です。
- 亜鉛は免疫細胞を活性化するため、牡蠣や牛肉、ナッツが良い供給源です。
- ビタミンB群はエネルギー代謝に関与し、疲労回復に寄与します。

実行するべき生活習慣の見直し

冷房は抗ウイルス効果を持つ免疫力を低下させないためには、外気温と5度以内の差に調整することが望ましいです。また、室内温度が低すぎないよう注意し、風が直接体に当たらないよう工夫が求められます。

加えて、夏はシャワーで済ませがちですが、入浴することでリラックス効果も得られ、自律神経のバランスを整えやすくなります。入浴後は喉や鼻の粘膜を保護するために、しっかり口腔ケアを行うことも忘れずに。