新たな食材、エリサンが変える陸上養殖の未来
沖縄県を拠点に活動する株式会社Insect Technologyが、持続可能な養殖飼料の開発に向けた新たなステップを踏み出しました。近年、世界的に魚粉の価格が高騰し、天然資源の枯渇が懸念されています。そんな中、同社が注目したのは、ヤママユガ科の昆虫「野蚕エリサン」です。この昆虫を原料とした飼料の可能性について、琉球大学との共同研究が行われました。
1. エリサン由来飼料の有効性
実験では、エリサンの蛹を魚粉の15%代替として使用した試料が作成され、沖縄産の高付加価値魚、ヤイトハタ(ミーバイ)の養殖に利用されました。結果は驚くべきもので、体重増加率や生存率は魚粉飼料と同等の結果を示し、さらに飼料効率にも悪影響は見られませんでした。これにより、エリサン由来のタンパク質が魚粉の代替として十分に機能することが確認されました。
この成功は持続可能な水産資源の利用に向けた重要な一歩です。
2. 養殖魚の健康向上
エリサン由来飼料を摂取した魚には、酸化ストレスの軽減やホルモンの正常化といった生理学的変化が見られました。酸化ストレスのレベルが低下し、魚のストレスを減少させることで、より健康的な魚を育成可能になることが期待されています。これを受けて、野蚕エリサンは単なる代替原料ではなく、「機能性飼料原料」としての地位を確立しつつあります。
3. イベント『Local Blue Table 2026』
研究成果を社会的に実装するため、2026年6月26日(金曜日)には、エリサン由来飼料で育成した養殖魚を試食できるイベント『Local Blue Table 2026』が開催されます。このイベントは、陸上養殖のステークホルダー、養殖事業者、食品関連企業だけでなく、デザイナーや建築家、学生も参加し、陸上養殖がもたらす地域への好循環を探求します。詳しくは
こちらからお申し込みください。
4. 持続可能な地域の循環
株式会社Insect Technologyは、地域資源を活用した新たな食循環モデルを目指しています。食材の外部依存を減らし、地域内での循環を確立し、地域の食文化を守る取り組みです。また、地域の未利用資源を活用することで、農福連携を進め、高齢者や障がい者の就労創出も実現しています。
エリサンの養蚕を通じて地域の食文化を織り込むことが、この新たな産業モデルの核となります。株式会社Insect Technologyは、地域の特色を生かした持続可能な食料生産システムの刻々と進化する様子を、これからも追い続ける予定です。
これにより、沖縄にとどまらず、他県でも「シルク・フェッド・フィッシュ」として高付加価値なブルーフードの生産を拡大し、地域経済の活性化を図っていくのです。