革新的ながん治療薬開発に向けた新たな出資の動き

新たな治療薬ががん治療の常識を変える

この記事では、慶應イノベーション・イニシアティブ（KII）が国立大学法人鹿児島大学発のスタートアップ、サーブ・バイオファーマに出資したことについて詳しく紹介します。サーブ・バイオファーマは、がん治療において新たな選択肢となる腫瘍溶解性ウイルス（Surv.m-CRAシリーズ）の開発を進めており、最近の増資により総額15億円の資金を調達しました。この資金は特に臨床試験や非臨床試験、さらには海外展開の加速に使われる予定です。

残された課題と期待

がんは現代医学において最大の課題の一つとされ、特に骨腫瘍などの難治性がんに対する有効な治療法が不足しています。そのため、サーブ・バイオファーマの腫瘍溶解性ウイルスは大きな期待を集めています。このウイルスは、正常な細胞には影響を及ぼさず、がん細胞にだけ増殖してその細胞を破壊する能力を有しており、高い治療効果と安全性が期待されています。

進行中の臨床試験

サーブ・バイオファーマのファーストパイプラインは既に国内において原発性骨腫瘍を対象とした第Ⅰ相および第Ⅱ相臨床試験を成功裏に進めており、これらの結果は極めて良好です。次は第Ⅲ相臨床試験が控えており、早期の承認取得が目指されています。また、セカンドパイプラインに関しても非臨床開発が進行中で、2027年には初めて人間を対象とした臨床試験が実施される見込みです。

未来への可能性

これらの取り組みを通じて、サーブ・バイオファーマは治療が難しいとされてきたがん患者に新しい希望を提供することを目指しています。特に、これまで治療が困難だった余命の短い患者層に向けて、新しい治療選択肢を示すことが期待されています。

組織と支援の概要

KIIは、2015年に設立され、慶應義塾大学の研究成果を活用したスタートアップに対して支援を行っています。2023年には、大学発スタートアップのためのインパクトファンドを設立し、社会課題の解決をサポートし続けています。KIIは研究と社会の橋渡しを行いつつ、医療や健康における課題解決に注力しています。