グロービス経営大学院が発表した最新研究紀要で示す未来の経営戦略
2025年10月31日、グロービス経営大学院は「グロービス経営大学院紀要 第4巻」を公開しました。この紀要は、同院の教員と在学中に研究を行った学生が共同で執筆したもので、AIや人的資本戦略、サステナビリティ経営といった8つのテーマに関する先端的な研究結果が盛り込まれています。
 研究活動の重要性
グロービス経営大学院は、学術界および社会への知的貢献を目的とし、研究活動を継続的に進めています。今回の紀要もその一環で、特に査読においてAIツールを活用することで、研究の正確性や公平性を高めています。玉石混交の情報が飛び交う現在において、確かな知見を持って経営に臨むことの重要性が再認識されています。
 紀要における注目のテーマ
本紀要には以下のようなテーマが含まれています。
 1. AIと人間の役割
松永正樹氏による論文では、AIが経営や労働に与える影響を考察し、AI脅威論とその誤解を解明しています。特に、AIに優位とされる領域を示しつつ、人間が果たすべき役割を「監督」「プロデューサー」「希望の担い手」として提案しています。
 2. 定年延長とシニアの職業的未来
ダイキン工業の事例を基にした研究では、定年延長がシニア層の職業観にポジティブな影響を与えることが明らかになりました。この研究は、シニア人材の有効活用を考える上での重要な示唆を与えます。
 3. サステナビリティ経営の事例
オムロンに関する調査では、企業理念のもとにサステナビリティを経営の中核にすえることが、日本の企業でも求められているというメッセージが込められています。各企業が実際にどのように取り組んでいるかが具体的に示されています。
 4. コンパッションの育成
チームビルディングを支援する自己診断ツールの効果に関する研究は、組織内の相互理解を深め、メンバー同士のコミュニケーションを円滑にする助けとなることを示しています。
 5. 仕事と子育ての両立
持続可能な支援の在り方を探索するための研究では、ミドルマネージャーが部下の仕事と子育てをどのように支えるかに焦点を当て、共感と理解の重要性が強調されています。
 6. プロジェクトチームの成果向上
プロジェクトチーム内で発生するコンフリクトが成果にどう影響するかを調査した結果、コンフリクトを解決する能力が高いチームが、業務成果を上げる傾向があることが示されています。また、重要なコンフリクトへの適切なアプローチが成果の影響を生むことが確認されました。
 7. 生活リズムと幸福度
日本の働く社会人における生活リズムの研究では、朝型と夜型の関係が探求され、主観的幸福度における差異が明らかになりました。この知見は、働く人々が自らの生活リズムを見直すきっかけとなるでしょう。
 8. MBA生の自己効力感の向上
パートタイムMBA生を対象にした研究では、在学中の経験が如何に彼らの職業的自己効力感を高めるかが探求されており、個々のキャリアデザインを意識することの重要性が説かれています。
グロービス経営大学院は、教育と実践を結びつけることで、ビジネス環境に即した実証的な研究を続けてまいります。詳しい研究結果やダウンロードは、
こちらのリンクから確認できます。今後も新たな知見を通じて、ビジネスリーダーの育成に寄与することを目指しています。
