ハイケムが推進するサラワク州のFCバス導入
ハイケム株式会社は、マレーシア・サラワク州のビアラマスとの間で燃料電池バス(FCバス)の導入を目指し、意義深い覚書(MOU)を締結しました。これにより、地域バス運行の専門知識を持つビアラマスのネットワークと、ハイケムの水素輸送技術を組み合わせることで、環境に優しい交通手段を地域の人々に提供することができます。
サラワク州の潜在能力と水素経済の形成
サラワク州は豊かな水力資源があり、約3.5ギガワットの水力発電所が稼働しています。これを利用したグリーン水素の製造ポテンシャルは大きく、州独自の水素ロードマップが策定されています。この計画に基づき、2030年までに年間10万トンの水素を製造する目標が掲げられています。特に、公共交通機関への水素燃料の導入が進んでおり、先日は水素燃料供給施設の試験運用も始まりました。
ビアラマスが火を灯すFCバスの導入も、この目標に向けた重要なステップとなります。これにより、サラワク州における交通システムの持続可能性と脱炭素化が進むことが期待されます。
ハイケムの背景:水素活用の先駆者
ハイケムの取り組みは水素経済の発展に向けた多数のプロジェクトの一部に過ぎません。2025年には、サラワク・ペトケムとの間で新たな覚書を交わし、SEG®技術を用いて石油化学プラントの開発が計画されています。ハイケムはこの技術を国内外で広め、特に中国では年間1000万トン規模のライセンスビジネスを展開しています。これまでに130万トンの水素を利用する成果を上げてきたことから、多くの知見とネットワークを蓄積しています。
また、カーボンエナジー社との合弁会社「株式会社ハイエナジー」を設立し、グリーン水素の製造装置の開発でも協力しています。これにより、ハイケムはサラワク州における水素活用と持続可能な交通手段実現に向けて、さらなる貢献を果たす考えです。
ハイケム株式会社の概要
ハイケムは、東京都港区に本社を置く化学品商社およびメーカーです。医薬品や食品、農薬などを含むライフサイエンス分野から、先端のエレクトロニクス部材まで幅広く取り扱う商社部門と、サステナブルな製品の開発に力を入れるメーカー部門があります。
具体的には、同社は日本と中国に研究所を持ち、脱炭素技術やバイオ化学技術の開発にも注力しています。年産1000万トンのライセンス実績を活用し、今後も地球に優しいプロダクトを目指して事業を展開する予定です。
終わりに
ハイケムとビアラマスの協力によるFCバスの導入は、サラワク州の交通体系において新たな可能性を示すものであり、地域の持続可能性に寄与する重要なプロジェクトです。未来に向けた革新的なアプローチが、より良い公共交通の形成に向けての道を切り開くことでしょう。