近年の不動産投資情勢
不動産投資が再び注目を集めている。東京の都心部でのワンルームや区分マンションの取引が活発化しており、特に賃貸収入や値上がり益を狙う個人投資家が増加中だ。株式会社TOCHUの最新統計によると、2024年の4~9月期には、個人による貸家業への貸出額が前年同期比22%増に達し、ローン残高も過去最高を更新した。
このような背景の中で暗雲が漂っているのが、日本銀行の利上げ政策だ。2024年3月から間もなく、3度目の利上げが予測されており、現在の金利は2%前後となっている。金利上昇の影響で、新たな投資家には厳しい局面が待ち受けていると言える。
繰り上げ返済とは?その利点
金利の上昇局面において、投資家が見逃せないのが繰り上げ返済だ。繰り上げ返済とは、通常の毎月の返済に加えて、一括して元金を返済する方法である。
主なメリット
1.
利息軽減: 総支払額が減るため、将来にわたる利息の負担が軽減される。
2.
返済期間短縮: ローン完済までの期間が短くなり、早期に次の物件への投資が可能になる。
3.
リスク分散: 複数物件を所有することで、投資リスクを分散しやすくなる。
4.
金利変動リスクの軽減: 特に変動金利ローンでは、金利が上昇した際の影響を抑えられる。
5.
キャッシュフローの改善: 家賃収入からローン返済額を引いた残額が増え、資金運用に幅が広がる。
デメリットと留意すべき点
一方、繰り上げ返済にはデメリットも存在する。
主なデメリット
1.
節税効果の低下: 利息が少なくなると、経費として計上できる額が減少し、場合によっては税額が増える可能性がある。
2.
自己資金の減少: 手元にお金が残らないと、急な出費に対応できなくなるリスクが高まる。
3.
新規物件購入の障壁: 繰り上げ返済を行なうことで、手元資金が減少し新たな物件の購入が難しくなることがある。
繰り上げ返済の適切な判断基準
繰り上げ返済を行うべきかどうかは、手元資金の額や現在の金利、購入物件の戦略などに左右される。TOCHUの伊藤社長は、物件価格の30%を手元資金として保持することを推奨している。さらに、税理士などの専門家に相談することも重要だ。
おわりに
利上げの傾向が見られる現在、投資家は繰り上げ返済を賢く活用する必要がある。リスクとメリットをしっかり判断し、未来の投資戦略を見据えることが重要だ。今後も変わりゆく不動産市場において、情報を敏感にキャッチし、自身の資産形成の手助けにしていきたい。