現代アートの最前線、諏訪敦の大規模個展「きみはうつくしい」開催

現代アートの巨匠、諏訪敦による新たな展覧会

2025年9月11日、東京のWHAT MUSEUMにおいて、約3年ぶりに開催される諏訪敦の大規模個展「きみはうつくしい」が注目を集めています。本展では、彼の新作を含む約80点の作品が展示され、長いキャリアの中での制作活動の進化が鮮やかに紹介されます。

諏訪敦の多彩な画業

諏訪敦は現代日本の絵画におけるリアリズムの第一人者として知られ、彼の作品には卓越した技術と深い考察が反映されています。近年では、戦争の犠牲者や神話、古典文学に登場するキャラクターなどをテーマにした作品を制作し、そのリサーチプロジェクト型のアプローチが高く評価されています。本展は、彼の最新作である「汀にて」を中心に展開され、過去の代表作と共に、彼のアーティストとしての旅路を物語ります。

アトリエでの内省を経て

コロナ禍の影響により、外界との接触が減少した諏訪は、アトリエで母を介護する中での静かな日々を過ごしました。この時期に彼は「人間を描く意欲を失っていった」と回想していますが、本展はその孤独を乗り越え、再び人間を描くことができるようになった彼の過程をドキュメンタリーとして提示します。精緻な描写を続ける中で、彼自身に厳しく問いかけ続けてきた「見ること、描くこと」の新たな旅を展覧会は描き出します。

展示のハイライト

本展の目玉は新作「汀にて」で、コロナ禍の中で進められた静物画の研究の集大成です。アトリエで見出した古い骨格標本や外壁充填材などの材料を使い、ブリコラージュで人型を描いたこの大型絵画は、諏訪の内面的成長を反映しています。また、制作過程を記録したドキュメンタリー映像も展示され、彼の緻密な作業風景を楽しむことができます。