肺腺がんと患者支援
2025-06-11 12:34:29

高額療養費制度の影響を語る肺腺がん患者のつながりと家族支援

募る不安、高額療養費の影響



東京都新宿区のパルシステム共済生活協同組合連合会は、6月5日にオンラインで学習会を開催し、高額療養費制度の引き上げがもたらす影響についての意見を聞きました。患者である水戸部ゆうこさんは、その場で自身の体験談を通じて、がん患者が直面する現実を語りました。
水戸部さんが肺腺がんと診断されたのは、2018年。小学2年生と5年生の二人の子どもを抱える中で、彼女はステージⅣのスペクトラムの中でも厳しい治療を余儀なくされました。手術や放射線治療が行えず、日々の抗がん剤治療に心身ともに奮闘する日々が続きます。
彼女の抗がん剤は1錠あたり2万円と非常に高額であり、副作用に悩ませられながらも治療を続ける生活は、精神的にも肉体的にも重圧を感じるものでした。結局、水戸部さんは半年で仕事を辞めざるを得なくなり、母親としての役割とがん患者としての役割の両立が始まります。

家族との闘病と新たな挑戦



水戸部さんは自身の闘病中に、父親が食道がんと診断され、9か月後に他界するという悲しい現実に直面しました。この経験は、彼女にとって死や不安に対する意識を更に強くし、心のケアを求める要因ともなったのです。彼女はオンラインのサポートグループに参加し、同じ境遇にいる仲間たちとつながりを持ち、徐々に社会とのふれあいを復活させることができました。
このような中で、彼女はがん患者をサポートする団体からの求人情報に目をつけ、働き始めることになります。しかし、再び抗がん剤への耐性が生じ、入院治療が必要となる中でも、彼女は仕事を続けながら「がんへの理解」を広めようと決意しました。

現状の厳しさと子どもたちの未来



2024年12月、政府から高額療養費制度の限度額が引き上げられるとの報道がありました。この制度は、医療費の家計負担を軽減するために設けられているもので、患者にとっては非常に重要な制度です。しかし、この引き上げが水戸部さんのような長期にわたり治療が必要な患者にとっては、切実な問題となります。
「子どもたちが受験を控えている今、自身の治療費のために進路を狭めてしまうかもしれない。」
水戸部さんはそう語ります。実際にがん患者を対象に行った調査では、「治療をあきらめて子どもの将来を優先したい」との意見も寄せられています。

水戸部さんは、国会でのヒアリングや記者会見、さらにはオンライン署名活動を通じて、制度の見直しを訴えてきました。彼女の活動により、58,154筆の賛同を得ることに成功し、2025年の引き上げは一時見送られることとなりましたが、その決定が完全に撤回されたわけではありません。

地域づくりとがん患者への理解



水戸部さんは地域内で「がんサロン」を始め、地域の人たちとのつながりを深める活動も展開しています。彼女は、参加者同士が自らの気持ちを伝え合い、誰もががんを“自分ごと”にできる社会を目指しています。この活動は、がん患者が孤立しないための重要な居場所となっています。

パルシステムグループは、がんに関する啓発活動を進めており、正しい知識を広めることを目指しています。がん検診や治療の重要性についての情報提供は、がん患者やその家族のみならず、社会全体に必要な取り組みとなっています。
水戸部さんの奮闘は、がんを抱える全ての人々の支えとなると共に、より良い医療制度の構築に向けた一歩となるでしょう。これからもパルシステムグループは、さまざまな立場から支援を行い、誰もが暮らしやすい社会の実現を目指すとしています。


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