富山銀行が導入した新システム
富山銀行が、マネー・ローンダリング(AML)やテロ資金供与(CFT)対策の向上に向けて、オンラインで実質的支配者情報(UBO)を迅速に提供する「コンプライアンス・ステーション® UBO」を導入しました。この取り組みは、法人取引先の継続的な顧客管理を効率化し、厳しいコンプライアンス環境に対応するための重要な一歩となります。
導入の背景
近年、金融犯罪が巧妙化し、AML/CFT対策の重要性が高まっています。富山銀行は、法人顧客のリスク評価を行う際に、実質的支配者など必要な情報を収集するための効率的な手段を模索していました。以前は、渉外担当者の訪問やダイレクトメールを通じて情報を集めていましたが、未回答や不着のケースが多く、情報の更新が難しくなっていることが課題でした。そこで、複数のデータプロバイダーを比較し、東京商工リサーチの法人データベースを活用できる「コンプライアンス・ステーション® UBO」の導入を決定しました。
「コンプライアンス・ステーション® UBO」の特長
この新システムを導入することで、富山銀行は法人の実態確認や情報収集にかかる手間やコストを大幅に削減できます。実質的支配者や株主情報を含む法人の最新情報を迅速かつ網羅的に把握可能となり、ストレスの少ないコンプライアンス管理が実現します。特に、2028年にはFATFによる対日相互審査が控えているため、実効性のある対策の構築が急務となります。
さらに、複雑化する金融市場の中で、多くの金融機関はリスクが高いトランザクションの監視や不正取引の早期発見に力を入れなければならず、そのための有効なデータ管理手法の導入が必須です。
確かなデータをもとにした信頼性
「コンプライアンス・ステーション® UBO」では、オンライン画面上で会社名を入力すると、TSRの情報に基づいたUBOが特定されます。これは、社名、住所、代表者情報などの基本情報と結びつけられたデータです。検索は個別にも、大量一括処理も可能で、法人番号がある場合、30万件の法人を約3分で処理できる能力を持っています。
今後の展望と目指す方向
今後、コンプライアンス・データラボ(CDL)は富山銀行のさらなる顧客管理の高度化に寄与すべく、プロダクト開発やサポート体制の強化を進めていきます。モニタリングの強化や不正取引の早期発見を実現し、多様化するリスク環境に対応できる体制を整備することで、金融業界の信頼を築いていくことが求められています。
結論
富山銀行が導入した「コンプライアンス・ステーション® UBO」は、AML/CFT対策の新たな礎となるツールです。法人情報の迅速な収集とリスク評価の向上により、金融機関のコンプライアンス管理を一層強固なものにしていくでしょう。金融犯罪が増加する中、今後の金融業務において、このような取り組みがますます重要性を増していくに違いありません。