新たなHIV検査の形、デジタルディスペンサーが登場
最近、HIV(エイズウイルス)検査へのアクセスがより手軽になってきています。特定非営利活動法人aktaが主導する新たな取り組みとして、HIV郵送検査キットを手に入れることができる自動販売機「HIVcheck.jpデジタルディスペンサー」が2025年12月16日よりスギ薬局新宿御苑店と中村キース・へリング美術館に設置されます。
このプロジェクトは、aktaがリーダーシップを取り、スギ薬局や中村キース・へリング美術館、そして検査キットを開発するH.U.POCkeTや製造を行うものづくり製作所との協働によって実現しました。目指すのは、地域社会の視点を取り入れた検査の普及と、HIVの早期診断と治療の促進、さらには流行の終結です。
HIV検査の現状と課題
HIVに関する国連の目標「95-95-95」は、HIV陽性者の95%が診断され、95%が治療を受け、95%がウイルスを抑制することを目指しています。しかし、2022年の時点で日本の診断率は89%に過ぎず、まだ足りない状況です。さらに、2024年の新規HIV感染者報告数は662件と増加傾向にあり、診断時にエイズを発症している「いきなりエイズ」の割合は3割を超えています。これは、検査への心理的ハードルが依然として存在し、早期診断を妨げていることを示しています。
コミュニティ主導の取り組み
aktaがこのプロジェクトで特に重要視しているのは、対象者であるコミュニティの声を反映させたことです。2021年から開発が始まった「HIVcheck.jpデジタルディスペンサー」は、社区のニーズをしっかりと把握したNPO法人によって企画・主導されています。これにより、HIV郵送検査が更に身近に感じられる環境が整いつつあります。実際に、これまでも様々なイベントに設置し、HIVへの関心を高める取り組みが続けられてきました。
実店舗での普及実験
そして今回、この概念をイベント会場から日常の生活の一部へと移行する動きが始まります。2025年12月16日から2026年2月20日の間、東京にあるスギ薬局新宿御苑店に設置されます。また、東京以外でも中村キース・へリング美術館にて同じく設置される予定です。こうした取組みは、プライバシーにも配慮された形で、より多くの人々が手軽にHIV検査を受ける機会を提供します。
未来の展望
設置されたデジタルディスペンサーによって、自宅での受け取りづらさや購入後のタイムラグが解消されることが期待されます。また、今後はHIVに限らず他の性感染症の検査キットも提供していく計画で、誰もが簡単に検査にアクセスできるような環境を整えていく意向です。
この取り組みが日本国内におけるHIV検査の普及に貢献し、より多くの人々が健康状態を把握するきっかけとなることを願っています。