キヤノンが実用化したウエハー平坦化技術
キヤノンが開発した「Inkjet-based Adaptive Planarization」略称IAP技術は、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を応用し、ウエハーの平坦化を実現しました。この技術は、半導体業界で求められる高精度な製造プロセスを支えるために不可欠なもので、2027年の製品化を目指しています。さらに、IAP技術は現代の半導体製造において大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
平坦化工程の重要性
半導体製造では、複数の工程が複雑に重なり合う中で、ウエハーの表面に発生する微細な凹凸を平坦化することが必須です。この凹凸がわずかでも不均一であると、重要なCD(Critical Dimension)誤差やパターンのずれを引き起こし、最終的な歩留まりや生産性に深刻な影響を与えます。特に、デバイスの微細化や3D化が進む中で、平坦化工程の精度向上が急務となっています。
現在、主流として使われている平坦化方法には、スピンコート技術やCMP(Chemical Mechanical Polishing)技術がありますが、これらは工程が複雑化しコストが増加することがしばしば課題とされています。キヤノンのIAP技術は、これらの問題を解決し、未来の半導体製造の鍵となるでしょう。
IAP技術の特長
IAP技術は、既存の技術とは一線を画す発想によって構築されています。従来の平坦化方法に代わって、キヤノンはインクジェット方式でウエハーに樹脂を塗布し、その上に回路を刻んだマスクを押し当てるNIL技術を用います。この技術により、ウエハーの表面凹凸を精密に分析し、最適な量の平坦化材料をインクジェットで配置します。
このプロセスでは、平坦ガラス板を上から押し当てて一度の工程で高精度な平坦化を実現します。このアプローチは、凹凸の形状に依存せず、直径300mmのウエハー全体を均一に処理することが可能です。その結果、ウエハー表面の凹凸を5nm以下に抑え、均一な層構造を形成できます。
未来への展望
キヤノンは今後もこのIAP技術を中心に半導体製造技術の研究と発展を続け、業界全体の生産性向上に寄与する意向を示しています。また、2026年にはSan Jose Convention Centerで開催される「SPIE Advanced Lithography and Patterning Conference」において、この新技術の詳細が発表される予定です。
半導体業界は日々進化しており、キヤノンのIAP技術がその未来をどう変えていくのか、今後の展開から目が離せません。