アルサーガパートナーズが挑む新たな安全対策
東京都渋谷区を拠点とするアルサーガパートナーズ株式会社が、1月22日(水)に行われた「UPGRADE with TOKYO」令和6年度成果報告会に登壇しました。このイベントは東京都が主催するピッチイベントであり、スタートアップ企業が都政課題を解決するための新しい製品やサービスを提案する場として設立され、2019年から続いています。今回の報告会では、特に生成AIとヒヤリハットデータベースを活用した事故予測システムに関するプロジェクトが紹介されました。
「UPGRADE with TOKYO」の趣旨とは
「UPGRADE with TOKYO」は、東京都が抱えるさまざまな課題を解決するために、民間のスタートアップ企業と協力して新たなサービスを提供することを目的としています。イベントに参加した企業は、提案したソリューションを実証する機会が与えられ、優勝した企業には東京都との優先的な交渉権が得られます。
アルサーガパートナーズのプロジェクトの背景
アルサーガパートナーズは、「生成AI等とヒヤリハットDBを活用した事故予測等システム・サービス」をテーマに応募しました。消防職務における重大な事故を受け、東京消防庁では消防職員の安全確保を目的に専任部署を設立し、事故の未然防止に向けた取り組みを強化しています。これを背景に、アルサーガパートナーズは、東京消防庁が収集したヒヤリハット(危険を感じたが事故には至らなかった事例)のデータを活用することを提案しました。
パネルディスカッションの内容
成果報告会では、中野孝雄氏(東京消防庁)と伊藤伸治氏(アルサーガパートナーズ)が参加し、プロジェクトに関する意見交換が行われました。中野氏は、過去に発生した重大事故を例に挙げ、事故を未然に防ぐヒヤリハットデータの重要性について語りました。生成AIには事故の発生を予測できる可能性があるとする期待が示され、これを実現するためのノウハウを探求する必要があると述べました。
伊藤氏は、生成AIが抱える課題の一つとして「ハルシネーション」を挙げ、これが社会実装を遅らせる要因であると指摘しました。そのため、アルサーガパートナーズは、ヒヤリハットのデータ入力や、データ分析などを効率化するソリューションを開発しています。
ヒヤリハットDBの概要と進捗
プロジェクトが進む中で、アルサーガパートナーズが開発している「東京消防庁AI事前予測ナビ(仮称)」は、主に2つのシステムから成り立っています。
1.
インプットシステム: データ入力の際に生成AIを活用し、文字の校正や個人情報の自動検出機能を提供することで、データの正確性と安全性を向上させます。
2.
アウトプットシステム: 従来の手作業で行われていたデータ分析を自動化し、AIが傾向分析を行うことで迅速で分かりやすい情報提供が可能になります。
これにより、消防職員の作業負担を軽減し、より高い効果が期待されています。
協働のメリット
このプロジェクトを通じて、東京消防庁が得られたメリットとしては、他業種ではあまり行われていないアプローチであり、生成AIを活用したシステム化が可能になる点が強調されました。伊藤氏も、社会貢献を通じて新たな研究分野への挑戦ができる機会であると感じています。また、報告後には他の企業からの関心も高まっており、全国的な広がりを見せています。
結論
最後に、アルサーガパートナーズは、報告会を経て生成AIを活用した社会課題解決へ注力していく意向を示しました。東京消防庁との協働プロジェクトは、さらなる実証実験やその効果的なソリューション拡大に向けて進む予定です。今回の報告会は、東京都産業労働局のYouTubeチャンネルでも配信されていますので、興味のある方はぜひご覧ください。