職場環境に迫る熱中症リスクと従業員の実態調査レポート

現代の職場環境において、夏の高温による熱中症のリスクがますます重大な問題となっています。日本シグマックス株式会社が行った「職場での暑さ・熱中症対策に関する実態調査」では、働く人々の実態が明らかになりました。調査の結果、283名中の81.3%が暑さの影響で仕事の効率が落ちると感じ、3人に1人が熱中症や体調不良で欠勤した経験があることがわかりました。特に、暑さによる集中力や判断力の低下が多くの労働者に影響を与えており、その実態は深刻です。

調査概要

この調査は2025年7月に行われ、対象者は建設、製造、運送など多様な業種に従事する25～55歳の男女2,208名の中から、暑熱環境で働く283名を抽出し分析しました。調査方法はインターネットを利用したもので、従業員は自身の体験を基に回答しています。

調査結果の分析

1. 暑さの影響

- 仕事の効率への影響: 81.3％の労働者が「暑さによって仕事への効率に影響がある」と回答。
- 熱中症の経験: この中で、3人に1人が熱中症や体調不良、さらには欠勤を経験しており、実に36.4%がその影響を実感しています。
- 集中力と判断力の低下: 半数以上が暑さによる集中力や判断力の低下を訴えています。これは業務効率だけでなく、事故やケガを引き起こす可能性があるため、早急な対策が必要です。

2. 企業の暑さ対策

調査結果によると、78.1％の労働者が企業の暑さ対策について「実施していない」または「不十分」であると感じています。具体的には、50.7%がエアコンの設置を挙げ、36.2%が飲料支給、33.5%が食品支給といった回答がありました。しかし、6割以上が自己負担で追加の暑さ対策を行っているという現実があります。

3. 自己負担の暑さ対策

さらに、自己負担で行っている対策として最も多く挙げられたのが「涼しい下着・インナー」で、39.6％が利用。この調査では、41.2%の方が暑さ対策に1万円以上を自己負担しているとのことでした。具体的には、ファン付きウェアや汗拭きシート、制汗剤スプレーなどが人気です。

政府からの指導

厚生労働省によると、2024年度の職場における熱中症発生数は過去最多となり、今後の対策が急務視されています。2025年からは労働安全衛生規則の改正により、企業には罰則付きでの対策実施が義務付けられるため、企業側の即時対応が求められます。

職場環境改善の必要性

本調査の結果から、熱中症リスクの軽減には企業側の責任感が求められることが浮き彫りとなりました。特に、従業員が安心して働ける環境を整えるためには、企業各自が特有な環境やニーズを理解し、それに応じた具体的な暑さ対策を講じる必要があります。最後に、私たちの快適な労働環境の実現に向けて、企業全体での取り組みがより一層求められることでしょう。