2025年米国EVエクスペリエンス調査結果の深掘り
J.D. パワーが最新の2025年米国Electric Vehicle Experience (EVX)に関するオーナーシップ調査を発表しました。この調査は、バッテリー式電気自動車(BEV)及びプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)のオーナーからのフィードバックを基にしており、特に満足度の変化や市場シェアの動向に注目が集まっています。
顧客満足度の向上
2024年に比べ、プレミアムBEVとマスマーケットBEVの両セグメントで顧客の総合満足度が上昇しています。全体的に、特にマスマーケットSEVの導入が進んだことが影響しています。昨年は全体的な満足度が低下したこともあり、今年の調査結果はその改善が見えてきたことを示しています。具体的には、BEV市場シェアは2023年の8.4%から2024年には9.1%に拡大するとの予測が出ています。
EV購入者向けの情報不足
調査によると、初めてBEVを購入したオーナーの69%が購入時に何らかの情報提供を受けたと回答しています。ただし、その内容は限られたもので、「特定機能の使い方」に関する情報提供が46%を占める一方、「EVを所有する総コスト」に関する情報提供はわずか12%にとどまりました。この結果は、オーナーの満足度を上げるために、より具体的で有用な情報が求められていることを示唆しています。
マスマーケットBEVの躍進
マスマーケットBEVのオーナーは、プレミアムBEVのオーナーよりも不具合を経験する頻度が少なく、これは両者の間でのギャップが縮まっていることを意味しています。不具合指摘数の少ない10モデルのうち、7モデルがマスマーケットセグメントに属しています。この点は、車両の品質がオーナー満足度に大きく影響する要因であることを証明しています。
プレミアムPHEVの見直し
これまで満足度がBEVよりも低かったプレミアムPHEVセグメントが、943ポイントのスコアを記録しています。これは、マスマーケットBEV(725ポイント)やPHEV(632ポイント)を上回っており、EVに完全に切り替えたいが躊躇している消費者にとって、プレミアムPHEVが魅力的な選択肢となる可能性を示しています。
公共充電の課題
公共充電の利用に関する問題は依然として存在しますが、マスマーケットBEVにおいては改善が見られます。充電インフラの整備が進む中、公共充電の利用しやすさに対する満足度が前年比で大幅に向上しています。特に、利用しやすさに最も満足しているのはプレミアムBEVオーナーです。
BEVオーナーの再購入意向
興味深い点として、94%のBEVオーナーが次回の車の購入時にも再びBEVを検討する意向を示しており、この割合は初めての購入者でも同様です。自動車メーカーにとって、ポジティブな顧客体験を提供できれば、ブランドへのロイヤリティが高い顧客を獲得するチャンスとなります。
実際の結果と今後の展望
J.D. パワーの発表した2025年の顧客満足度ランキングでは、プレミアムBEVセグメントの1位がBMW iX(790ポイント)、マスマーケットBEVセグメントはHyundai IONIQ 6(751ポイント)が獲得し、それぞれの市場での品質向上が顕著であることが示されています。今後もEV市場は拡大の余地があるものの、政府の政策や価格設定が市場に大きな影響を与えることが予想され、注意が必要です。
この調査は、J.D. パワーが自ら企画し実施しており、5年連続で行われたものです。EV市場の現状把握や、顧客のニーズを知る上で非常に貴重なデータといえるでしょう。今後の動向に注目が集まります。