物流業界の法改正とDX推進がもたらす新たな課題と解決策
物流業界が現在直面している課題は、ドライバー不足やコストの増加に加え、法改正への対応が求められています。株式会社インフォマートが実施した調査によると、物流関連の法改正について、3割強の業界関係者が「特に対応していない」と答えています。この現状は、業界全体のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進の遅れを示すものであり、さまざまな要因が影響を及ぼしています。
調査結果の概要
東京を拠点とするインフォマートが行った調査では、物流業界と荷主企業それぞれから180名ずつの回答を得ています。調査の結果、物流業界では法改正によって「ドライバー不足」と「コスト増」が主な課題として浮上し、荷主企業は「運賃・物流コストの上昇」と「契約書の対応」が課題であると感じています。
物流業界の状況
調査によれば、物流業界で法改正に対する具体的な対応が行われていない企業が32.2%に達することが分かりました。この割合は、従業員数が50名未満の企業が半数を超え、大企業でも3割強が「特に対応していない」と回答しており、業界全体でのDX推進の遅れが明らかになりました。
デジタルツールの導入状況も調査され、特に「勤怠・労務管理」や「車両管理システム」などのバックオフィス系のツールは比較的導入が進んでいますが、36.6%の企業は依然としてデジタルツールを導入していない状況です。特に、「荷待ち・荷役時間」や「積載率」のデータ化が遅れており、業務の効率化が進まない要因となっています。
荷主企業の課題
一方、荷主企業は法改正によって「物流コストの見える化」と「適正化」に期待していることが確認されました。調査結果では、「運賃・物流コストの上昇」が38.9%の人々によって最も深刻な課題とされ、次いで「契約書の対応」に困難さを感じている回答が多く見られました。特に飲食業や建設業においては、契約管理が複雑化しており、デジタル化の遅れがその対応に影響を与えています。
DX推進の妨げ
調査の中で浮き彫りになったのは、物流業界がDXやデジタル化を進める上での障壁です。特に「投資余力の不足」や「IT人材の不足」が大きなハードルとなっています。また、依然として紙やFAX、電話に依存した業務運営が行われているため、デジタルツールの導入が難しい状況が続いています。
一方、荷主企業においても「投資コストが高い」や「部署間連携の不足」がDXの進行を妨げる要因として指摘されており、双方の業界で協力してデジタル化に取り組む必要があります。
まとめ
物流業界は、法改正やDX推進をきっかけに新しい課題に直面しています。特に、業界内でのデジタル化の遅れは、効率化の観点からも重要なテーマです。データの適切な可視化や業務のデジタル化が進むことで、コストの適正化や全体の業務効率化が期待できるでしょう。今後、物流業界は荷主企業を巻き込んだ構造改革が求められ、より良い職場環境の構築に向けた取り組みが必須です。
当社は、引き続き帳票業務のデジタル化を通して、業界全体の経営高度化に貢献していく所存です。