地下水の新情報を提供する水文環境図
静岡県の大井川下流域に新たな水文環境図が登場しました。この地図は、国立研究開発法人産業技術総合研究所と静岡県環境衛生科学研究所の共同によって作成され、地下水の流れや深さなど、目に見えない地下水の実態を視覚化しています。
地域の地下水に関する課題
大井川下流域は、焼津市や藤枝市、島田市などが位置する扇状地で、地下水の利用が極めて盛んな地域です。このエリアでは地下水の利用や保全に関する研究が行われています。それに伴い、最新の調査結果を反映した地図の作成が進められました。
地下水の特徴
今回公開された水文環境図は、地下水が大井川の河川水により涵養されていることを示しており、この影響は広範囲に及びます。地下水は加圧層が存在するところで、浅層の不圧地下水と深層の被圧地下水に分かれ、それぞれが駿河湾へ流れていきます。特に、大井川の近くの井戸では、年間で地下水温に約4℃の変化が見られ、このことは地表の水温が地下水に浸透して影響を与えている証拠です。
環境図の意義
水文環境図は、地域の水循環を理解するための重要なツールとなります。この図を用いることで、地下水資源の適切な利用や保全に関する情報を得られます。例えば、地下水の涵養源や流れている深度、さらには水質の情報を取得することが可能です。
これにより万が一の水質汚染が起きた場合に、影響を予測し対策を講じるための基礎データを提供してくれます。また、地下水位の低下や地盤沈下といった課題に対しても、関係者との合意形成が必要不可欠であり、この地図がそのための議論のスタート地点となります。
省エネルギー技術への応用
地下水の温度情報は、地中熱冷暖房システムなど省エネルギー技術への活用が期待されています。地下水を利用した冷暖房技術の導入を考える際には、その地域特有の地下水の挙動を理解しておくことが重要です。それにより、地域全体のエネルギー効率を向上させることが可能になるかもしれません。
公開日時と入手方法
この水文環境図は、2025年3月28日より産総研の地質調査総合センターのウェブサイトで入手可能です。地域住民や研究者、政策立案者にとって非常に価値のある資料となることでしょう。詳細は
こちらのリンクをご覧ください。
結論
大井川下流域の地下水に関する新たな知見を得ることができる今回の水文環境図は、地域水循環の理解や保全に大いに役立つでしょう。水資源の適切な管理と地域の持続可能な発展に寄与するためにも、多くの人々がこの情報を活用してくれることを期待します。