医療とAIの融合がもたらす新たな道：国際セミナーの解説

2025年7月25日、大阪・関西万博のイタリア館内にあるオーディトリアムで、「医療におけるAIの可能性と教育」に関する国際セミナーが開催されました。このイベントは、イタリア館と大阪大学の共催によって実現し、放射線医学とAIの統合、教育現場での利用、日欧間の協力の展望を多面的に探る貴重な機会となりました。

最初に、アンバサダーであるマリオ・アンドレア・ヴァッターニ氏が登壇し、参加者に対して歓迎の挨拶を行いました。彼の言葉には、イタリア館が持つ国際的な視点や、AIの進展が医療に与える可能性についての期待感が込められていました。

続いて、富山憲幸教授（大阪大学）が本セミナーの目的を紹介しました。彼は、登壇者たちの背景や進行の流れについて説明し、このイベントがどのように医療の未来に貢献できるかを示唆しました。

次に、堀昌俊教授（大阪大学医学研究科放射線科）が「AI in Radiology Practice: Unlocking New Possibilities in Care and Research」というテーマで講演を行いました。彼は、日本の大学病院でのAI活用の先進事例をもとに、放射線医療におけるAIの新しい可能性について詳述しました。特に、AI技術が放射線診断や患者ケアの質を向上させる方法について具体的なデータを示しながら説明しました。

続いて、武田俊浩教授（大阪大学医学研究科放射線科）が、「Empowering Healthcare through AI: Structuring Medical Records and Solving Clinical Challenges」という演題で講演を行いました。ここでは、医療記録の構造化を通じた臨床課題解決の事例が紹介され、AIがどのように医療ワークフローや診断精度を改善できるかについて語られました。

さらに、ダニエル・ピント・ドス・サントス教授（ヨーロッパ放射線科医）が「AI in the Radiologist’s Curriculum: Educating the Future」というテーマで、放射線科医教育に必要な倫理やガバナンス、そして多職種連携の視点を提示しました。彼は、現行の教育システムと生成AI支援の可能性について議論し、アカデミアと産業界が果たすべき責任についても考察しました。

最後に、ファビオ・テッドーリ氏（Bracco R&D）が「Leading through Innovation – An Industry Partner Perspective」というテーマで講演し、Bracco社のAI戦略やイノベーションに関する取り組みを紹介しました。彼は、パートナーシップを通じた技術開発の重要性を強調し、Bracco社がどのように医療業界に革新をもたらそうとしているのかを述べました。

ディスカッションの中では、Bracco社が運営する技術開発に関する最新情報も共有され、同社が2024年には収益の約8%を研究開発に投資する計画を立てていることや、AIを活用したCOVID-19患者の重症度予測に成功した事例も報告されました。これにより、AI技術の実用性と、医療の質を向上させる可能性が高く評価されています。

このセミナーを通して、医療現場でのAI技術の融合がもたらす新たな可能性や、教育と国際協力の重要性が再確認されました。今後も大学や研究機関、産業界が連携し、国際的な課題に取り組んでいくことが期待されます。これにより、医療の未来がより明るいものになることでしょう。

このイベントに関する詳細は、ブラッコ・ジャパン株式会社にお問い合わせください。所在地は東京都豊島区南池袋で、ウェブサイトは Bracco Japan です。