シニアエンジニアのAI研修状況と学習意欲
株式会社モロが実施した調査によると、40〜60代のITエンジニアの多くは、企業におけるAI研修や勉強会が整備されていない状況に直面しています。具体的には、所属する企業でAI関連研修がないと回答したのは56%にのぼり、研修制度が整っていても、その多くが若手を対象としたものであり、シニア層はその対象から外れていることが明らかになりました。
学びたいが環境が整わない
調査では約9割のシニアエンジニアがAIスキル学習に対して強い意欲を見せています。しかし、その一方で、実際の研修・勉強会の参加者は思うように増えておらず、「時間がない」「費用が負担」といった学習に対する障害がいくつか挙げられました。特に「時間がない」と答えた人は31%を占めています。これは業務多忙や家庭の事情などが影響していると推測されます。
若手優先の研修制度が抱える問題
研修制度の満足度も低く、充実した研修があると感じるシニアエンジニアはわずか8%に留まり、制度はあるものの内容に不満を持つケースが多数を占めています。また、シニア層が対象外の研修はさらに増えつつあり、学習機会の不均衡がますます広がっています。これは日本の企業全体でのAI活用の遅れにもつながっていると言われています。
学習意欲と実績のギャップ
調査により、約88%のシニアエンジニアが何らかの形でAIを学びたいと感じている一方で、その実際の行動は約3割に留まっています。特に、4人に1人は「学びたいけれど先延ばしにしている」と回答しており、これが企業や社会全体の技術革新のスピードに影響を与える懸念があります。
自己投資する層の存在
興味深いことに、過去12ヶ月でAI学習に自己投資を行ったシニア層は22%存在し、中でも40代が特に積極的です。このことは、シニア層の中でも学ぶことへの意欲が強い世代がいることを示していますが、企業がその意欲を活かすための引き金を用意することが今後の課題となるでしょう。
企業の取り組みが不可欠
株式会社モロの代表取締役である前田洋平氏は、企業がシニアエンジニアの学びを支援する環境を整備する必要があると強調します。その背景には、シニアエンジニアの豊富な経験を活かし、企業としてより良い人材を確保していく必要性があるからです。レガシーフォースは、意欲を持つシニアエンジニアと企業のマッチングを通じて、この問題を解決する役割を果たすことを目指しています。
最後に
AIスキルの習得は、業界全体の成長に寄与する重要な要素です。シニアエンジニアの学ぶ意欲を活かすためには、企業の意識改革と環境整備が不可欠です。全ての世代が共に学び、高め合える社会を作るために、各企業とシニアエンジニアが協力することが求められています。