公務員のマネジメント能力向上に向けた新たなスキル明確化
日本総合研究所(以下、日本総研)とグロービスが共同で設立した「行政官のスキル明確化とアップデートに関する研究会」が、公務員に必要なマネジメントスキルの明確化に関する報告書を公表しました。これは、ますます複雑化する社会的・経済的課題に対処し、高度な公務遂行能力を養うための重要なステップです。
研究会設立の背景
近年、公務員には、様々な経済や社会の問題に対応するため、より深い知識とスキルが求められています。しかし、非効率な業務慣行や自身のスキルへの不安感から、中堅や若手の公務員が離職するケースが増えてきました。この「公務員離れ」は、新卒採用の応募者の減少にも繋がり、公務員不足という深刻な問題を引き起こしています。これに対処するためには、行政組織での新卒採用の強化や、既存人材の能力向上が急務です。特に重要なのは、必要なスキルを明らかにし、職務を遂行するための能力を高めることです。
日本総研とグロービスは、行政官に求められるスキルの明確化を通じて、公務の質を向上させ、担い手を確保することを目指し、この研究会を設立しました。
報告書の概要
報告書では、国家公務員総合職の管理職に必要とされるスキルの明確化が焦点です。特に重要なのは、共通して必要とされる「マネジメントスキル」の定義を進め、おおよそのスキルを体系的に分類しました。
検討内容の詳細
1.
スキル明確化の意義
公務で必要なスキルを明確にすることで、職務の多様性と魅力を浮き彫りにし、組織の生産性向上へと繋げることができます。
2.
スキルの分類
具体的には、必要なスキルを4つのカテゴリーに分類し、民間企業のマネジメントスキルと共通する項目が多いことを示しました。
3.
スキル取得の重要性
スキルを効率的に取得し、キャリア開発に繋げるための取り組みが必要であることが強調されています。職務に必要なスキルを明確にし、研修体系の整備が求められています。
4.
人事施策への展開
明確化されたスキルは、昇進や昇給の判断材料として活用され、キャリア指導や適切な職務配置に繋がることが期待されています。
5.
波及効果
システムが整うことで、国家公務員にも地方公務員にもメリットが波及し、さらには官民の人材交流が進むことが見込まれています。
今後の取り組み
日本総研とグロービスは、今後もこのスキル明確化に基づき、中央官庁や地方自治体との対話を続け、さらなる提言を行う予定です。公務員のスキルアップを通じた業務効率の向上が期待され、将来的には公務員人事制度の改革も視野に入れた議論が必要だとされています。
この報告書により、公務員のマネジメント能力向上に向けた新たなステップが踏み出され、公務の魅力がさらに高まることが期待されます。