2025年第1四半期アジア太平洋地域の商業不動産投資が急成長
2025年第1四半期のアジア太平洋地域における商業用不動産投資額が前年同期比で20%増加し、363億米ドルに達しました。これは、2022年の金利上昇サイクル以降で最高水準の投資額であり、地域の商業用不動産市場の健全性を示しています。多くのセクターで投資活動が活発化し、特にインダストリアル・物流セクターを除く各分野で顕著な成長が見られました。
この地域におけるクロスボーダー投資額も前年同期比で152%増の86億米ドルに達し、2019年以来の最高レベルとなっています。特にオフィス、物流施設、賃貸住宅のセクターが海外投資家にとって魅力的で、特に日本市場では大型物件が注目されています。こうした動きが、国際的な投資の流れを促進しています。
日本の不動産市場は、この四半期に137億米ドルの投資額を記録し、前年同期比で20%の増加を示しました。金利上昇にもかかわらず、日本の各セクターは利回りがプラスに保たれており、この点が海外投資家に対して非常に魅力的な要素となっています。JLLのアジアパシフィック キャピタルマーケットのCEOであるスチュアート・クロウ氏は、この成長がアジア太平洋地域の強固なファンダメンタルズを反映していると述べています。
ただし、米国による関税問題は、アジア市場における投資活動に潜在的な影響を与える状況です。特に、米国の景気減速がGDPに影響を及ぼし、米国輸出に依存する国々はより大きな影響を受ける可能性があります。雇用の増加はオフィス需要に影響し、消費支出は小売売上に影響を及ぼします。
物流セクターは、貿易縮小や物流ルートの変更の影響を受けることが予想され、特に地域の名古屋港近くの倉庫では自動車部品の輸出が減少する可能性があります。しかし、eコマースの浸透や中間層の成長は、アジア太平洋地域の貿易に引き続き支えられるでしょう。企業の収益性を守る観点からも、安定的な需要が続いていることは心強い要素です。
JLLのリサーチディレクター、内藤康二氏は、日本市場が中長期的に見ても低コストで資金調達しやすい状況が続いていることが、海外投資家の関心を高める要因であると指摘しています。日本市場は、不透明な状況の中でも多くの投資機会を提供しており、オフィス、物流施設、賃貸住宅などが高い需要を保っています。これにより、今後も日本の不動産投資は堅調な推移が期待されます。さらに、海外投資家の活動が地域市場にさらなる活力をもたらすでしょう。
このように、2025年第1四半期のアジア太平洋地域の商業用不動産市場は、利害関係者にとってのチャンスとリスクが交錯する複雑な状況にあると言えますが、長期的に見た際の投資価値や成長の可能性を求め、適切な戦略をもたらすことが求められています。
詳細なデータについては、JLLの
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