ドライバーの安全運転を見守る新たな仲間、猫型ロボット「ドラにゃむ」
近年、高齢ドライバーによる交通事故が社会問題化しています。そこで、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(TMF)は高齢ドライバーの安全運転を支援する新たな取り組みを始めました。青い猫の姿をしたロボット「ドラにゃむ」は、ドライバーの車内に同乗し、安全運転の意識を高める役割を担っています。このプロトタイプの開発と実証実験では、株式会社quantumとの協力により、猫型ロボットの効果を検証しました。
高齢ドライバーへの支援の背景
高齢化社会が進む日本において、高齢ドライバーによる事故は深刻な問題です。TMFは、2022年よりドライブレコーダー映像とAI解析技術を用いた運転診断「ドラみる」の実証実験を実施し、運転行動を客観的に見ることでドライバー自身の運転癖を改善することを目指しました。しかし、映像を記録されることへの抵抗感が無視できない課題として残りました。
「ドラにゃむ」の発想の素
そこで、「ドラにゃむ」はドライバーの運転を直接評価するのではなく、間接的にその意識を変える存在として開発されました。ドライバーは大切な人が同乗している時には、より丁寧な運転を心がけるものです。この心理に着目し、「守りたくなる存在」としての猫型ロボットが、リスクのある運転に反応することで、ドライバーに安全運転を促すというアイデアが生まれました。
このロボットは、通常は寝ている姿勢でいますが、危険を感知すると目を覚まし鳴き声をあげるというユニークな特長を持っています。現代の家族形態や、単身高齢者の増加を考慮し、ドライバーの心を支える相棒としての役割を果たすのです。
実証実験の内容と効果
昨年11月から12月にかけて、高齢ドライバー7名と20~30代の運転歴の浅いドライバー5名に「ドラにゃむ」を数日間体験してもらいました。役割として、ロボットが同乗することで「誰かがそばにいる」感覚を提案し、高齢ドライバーの安全運転意識を調査しました。結果、高齢ドライバーからは「横に誰かがいる感じがした」「愛着が湧いた」との声が上がり、一人ではない安心感が得られたようです。
また、安全運転を意識した結果、「より丁寧に運転した」と感じる声もあり、猫型ロボットが意識に与える影響を改めて確認できました。さらに、運転歴の浅いドライバーからは「自然な存在感が集中力を高めた」という評価も得られ、想定以上のポジティブな反応が寄せられました。
今後の展開
得られたコメントをもとに、今後も「ドラにゃむ」の改良を進め、このアイデアを社会にどう提供できるかを模索していく方針です。TMFのプロジェクトは、今後も高齢ドライバーの安全運転支援に、さまざまなアプローチで貢献していくことでしょう。細やかな配慮が、高齢者の運転生活の安心感にどのように繋がるのか、今後の進展が楽しみです。
参画企業とその役割
このプロジェクトには、TMFが実証主体としてプロジェクト全体の企画と実施計画を担い、quantumがロボットの制作と実施支援を担当しました。また、デンソーや東京海上日動も仕様検討や実証実験に協力し、それぞれの分野での知見を活かした支援が行われています。
トヨタ・モビリティ基金は今後もこのような取り組みを通じて、安全運転の環境づくりに貢献していく予定です。