ファストドクターとセコムOWELがAPI連携を開始し在宅医療を進化

ファストドクターとセコムOWELのAPI連携

ファストドクター株式会社は、2025年7月1日からセコム医療システムと提携し、在宅医療向けのカルテ「セコムOWEL」と主治医支援ツール「クリニックポータル」の間でAPI連携をスタートします。この取り組みは、患者情報の自動化された安全な共有を実現し、在宅医療体制の質を向上させることを目的としています。

在宅医療のニーズと課題

近年、高齢者が自宅で療養を希望する事例が増加しており、在宅医療の需要が高まっています。その一方で、患者が主治医に依頼した際、非常勤医が代わりに対応するシチュエーションが増えており、情報の引き継ぎや共有が課題となっていました。特に、病状や服薬状況、緊急時の対応方針といった重要な情報の正確な引き継ぎは、こうした医療行為の質に直結します。

API連携による情報の自動同期

今回のAPI連携により、「セコムOWEL」に登録されている患者情報は、瞬時に「クリニックポータル」に同期されます。この自動同期のシステムによって、非常勤医は主治医が把握する最新の情報にアクセスができ、無駄な手作業による入力の必要がなくなります。これにより、医師間の情報格差が解消され、患者に対する一貫した医療が提供されることが期待されます。

セキュリティ対策とプライバシーの保護

医療情報は特に機微なデータであり、情報の漏洩を防ぐための厳格なセキュリティ管理が求められます。本連携では、非常勤医が閲覧する情報を往診対象の患者に制限し、必要な情報のみを安全に共有しています。診療終了後には自動的に閲覧権限が無効化されることで、情報漏洩のリスクを低減しています。

生成AIによる診療情報の自動要約

非常勤医が初めて診療を行う場合、患者の詳細な情報を即座に理解することは難しいですが、「クリニックポータル」では生成AIが自動で要約を提供します。これにより、医師は患者の重要情報を迅速に把握し、適切な処置を行うことができるようになります。

リアルタイムでの対応状況の確認

主治医にとっても、非常勤医がどのように対応しているかをリアルタイムで把握できることは大きな安心材料です。患者宅への到着予定時刻や対応内容をすぐに確認できるため、医療提供の連携が円滑に行われます。

今後の展望

ファストドクターは、今後もこのAPI連携を通じて在宅医療支援をさらに強化していく考えです。2040年に向けて医療需要が増加すると予測される中、安全で高品質な医療体制の構築に向けて積極的に取り組んでいます。在宅医療を支える持続可能な仕組みの構築は、地域医療の質を向上させるだけでなく、多くの患者に貢献することにつながるでしょう。