KOMORIが切り開く銀行券印刷の未来と挑戦
銀行券の印刷は、高度な技術とセキュリティが要求される特殊な業務であり、その中心に立つのがKOMORIです。この会社は、世界で2社しかない銀行券印刷機のメーカーの一つとして、国際的な評価と信頼を獲得してきました。
証券印刷事業の始まり
1962年に入社した小森善治会長は、KOMORIの証券印刷事業の海外展開を夢見ていました。この事業の始まりは1958年で、国立印刷局との共同開発からスタートしました。都内の工場で開発した特別な印刷機で、日本銀行券も手がけ、その後も200台以上を納入し続けています。今なお、約50台の印刷機が稼働し、新たな紙幣の印刷にも携わっているのです。
海外市場への進出
1987年の中央銀行総裁会議を契機に、KOMORIは海外市場への進出を本格化させます。当時還流した中央銀行総裁を対象に、印刷技術のデモンストレーションを行い、各国からの需要が高まりました。その後、ロシアや韓国、インドなどでの契約を次々に結び、世界的に名を馳せていくこととなります。
特に1995年にインド中央銀行との大型プロジェクトがスタートし、8ラインの印刷機を発注したことは、KOMORIの成長の節目となりました。このプロジェクトは、「一つの町を作るほどの大規模なもの」と称され、国際的な信頼をさらに深めることとなります。
東南アジアとヨーロッパでの成功
その後、KOMORIは東南アジア市場にも目を向け、多くの国での契約に成功しました。特にフィリピンやインドネシアでは、厳しい競争を乗り越え、商談の成立を見ました。最近では、ベトナムでの新工場計画が進行中で、2024年には新たに2ラインの契約が結ばれる予定です。
さらに、KOMORIの技術は欧州でも高く評価され、2011年にはイギリスのデ・ラ・ルー社へ印刷機を納入し、これが契機でヨーロッパ市場での展開も加速しました。2014年にはイングランド銀行と契約を交わし、現在のイギリスではKOMORIの機械でポンド紙幣が印刷されています。
ドル紙幣印刷の夢
小森会長にとっての夢は、アメリカ・ドルの印刷を叶えることでした。過去15年にわたり、アメリカの印刷局との商談を重ね、ようやく今回、複数台のオフセット印刷機の受注に成功しました。この成約は、KOMORIの歴史においても特別な出来事であり、さらなる飛躍を予感させます。
「お客様の要求は高く、期待に応えるまでの道のりは険しかった」と小森会長は振り返ります。しかし、その努力が実を結び、今後もさらなる挑戦を続けていく意欲を表明しています。
今後の展望
KOMORIの証券印刷事業は、依然として成長が見込まれています。アジアの人口増加や中南米、アフリカでの商談の増加が期待され、印刷技術の需要は多岐にわたります。また、今後のデジタル印刷機の開発も進められ、より高度な印刷技術の導入が予想されます。特に、パスポートの印刷におけるセキュリティ技術のニーズも高まっており、その市場においてもKOMORIの技術が生かされることでしょう。
KOMORIはその革新的な印刷技術で、世界中に感動をもたらす企業であり続けるため、さらなる挑戦を続けています。今後もますますの活躍が期待されるKOMORIに、注目が集まります。