注目の薬物担持法
2026-01-30 11:06:58

有機溶媒を使わない!新たな薬物担持法が注目される理由

有機溶媒を使わない!新たな薬物担持法が注目される理由



東京理科大学の研究グループが、環境負荷を軽減しながら医薬品の溶解性を向上させる新しい薬物担持法を開発しました。この研究は、特にイブプロフェン(IBU)という抗炎症薬の非晶質化を通じて行われました。

研究の背景


医薬品には溶解度が低い成分が多く、これらの改善は医薬品の有効性を高めるための重要な課題です。従来、難水溶性薬物の溶解性を向上させる方法として有機溶媒を用いることが一般的でしたが、環境への悪影響や、製剤中の残留有機溶媒が問題視されていました。そこで、研究グループは有機溶媒を使用せずに薬物を多孔質材料に吸着させる新たな手法に着目しました。

新たな薬物担持法の概要


開発された密封加熱法(SH法)では、多孔質材料であるメソポーラスシリカ(MPS)を使用しました。この方法により、IBUは非晶質化され、従来法同様の効果が得られました。研究チームは、MPSの細孔径が大きいほどIBUの非晶質化が進むことを発見し、溶解性が向上する要因として細孔特性が重要であることを示しました。

具体的には、MPS-4Rという細孔径3.9 nmの材料を用いると、IBUの非晶質化がより高い効果を示しました。この研究では、3つの試料調製法—物理的混合法、蒸発/凝縮法(EV法、有機溶媒使用)、SH法(有機溶媒不使用)—を比較し、SH法による溶解性向上の有用性を確認しました。

研究結果


実験の結果、SH法を用いてMPS-4RにIBUを吸着させる場合、IBUの含有量が30 wt%以下での非晶質化が観察されました。一方、MPS-2Rという細孔径2.2 nmの材料を使用した場合は、IBU含有量が10 wt%以下の際に非晶質状態が形成されました。このことは、大きな細孔径を持つMPS-4RがIBUをより効果的に非晶質化する能力を持つことを示しています。

また、MPS-4Rを用いたSH法によるIBUの溶出速度はIBU結晶の約2.7倍と非常に高く、効率的な薬物放出が期待できることも分かりました。これにより、SH法が医薬品製剤において持続可能で環境に優しい手法としての地位を確立できることが期待されます。

結論


本研究の成果により、MPSは新しい薬物キャリアとして非常に有効であることが実証されました。SH法による製剤化は、医薬品の開発において新たな選択肢となる可能性があります。今後、この手法が他の医薬品にも応用され、より広く普及することが期待されています。特に、環境への配慮が求められる現代において、SH法の持つ持続可能性は大きな価値を持つでしょう。

論文情報


研究成果は2025年12月24日に国際学術誌「Journal of Pharmaceutical Sciences」にオンライン掲載され、今後の医薬品製剤の発展に貢献することが期待されています。これにより、製剤技術の革新が進むことで、患者にとってより良い治療オプションが提供されることになるでしょう。


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