電動車のバッテリー診断サービス、サーキュラーエコノミーを支える新たな試み
電動車の普及が急速に進む現代において、バッテリーのリユースやリサイクルに関する需要が高まっています。そんな背景の中、JA三井リースグループは、株式会社電知および日本オートリサイクルと共に、電動車のバッテリー診断と放電サービスの実証運用を始めることを発表しました。この新たな取り組みは、サーキュラーエコノミーの推進とともに、発火リスクの低減を目指すものです。
バッテリーという資源の重要性
自動車業界では、ハイブリッド車を含む電動車の需要が高まっていますが、中古車市場における電動車の評価は依然として厳しい状況です。その理由の一つが、バッテリーの劣化診断基準が整備されていないことです。このことが、中古電動車の市場価格を押し下げる要因とされています。さらに、バッテリーに用いられるレアメタルは国家的に見ても重要な資源であり、高付加価値な国内リサイクルが求められているのが現状です。
新サービスの画期的な内容
今回の実証実験では、リース契約が満了したメーカーのEV、HV車両を対象に、バッテリーの診断を行いました。CHAdeMO端子を用いて行われるこの診断は、複数の車種やバッテリーに対応できる仕組みとなっています。診断は、電気化学インピーダンス法を採用することで、バッテリー内部の劣化状態を精度高く非破壊的に測定することができます。
この技術は、従来のSOH(State of Health)測定では判断しきれなかったバッテリーの実際の劣化状態を明らかにします。これにより、バッテリーのリユースや再利用の際の価値判断が明確化し、さらなる資源の循環が可能となります。さらに、診断機器は持ち運びが便利なため、リサイクル現場や整備工場でも迅速に対応できる利点があります。
発火リスクの低減と安全な保管
バッテリー診断に加え、放電処理サービスを提供することで、特にリサイクル現場での発火リスクを低減できることが期待されています。バッテリーが適切に管理されないまま長期間保管されると、発火の危険性や保管スペースの逼迫が問題となりますが、今回の新サービスはそれを解消する助けとなるでしょう。
3社の共同実証での役割分担
このプロジェクトでは、JA三井リースグループが全体の企画や取りまとめを担当し、株式会社電知が診断・放電技術のデータ分析サービスの提供を行い、日本オートリサイクルがフィールドの提供と実証実験の実施を担当しています。こうした協力関係により、相乗効果が生まれ、より効果的なサービスの展開が可能となります。
今後の展望
本サービスが提供する診断と放電処理が広がることで、電動車のバッテリーのリユースやリサイクルが進むことが期待されます。さらに、全国展開を視野に入れたサービス体制の確立を目指して、技術のさらに高い進化を目指していく方針です。
この取り組みにより、私たちの未来の移動手段がより持続可能で安全なものに近づくことを願っています。私たちの生活環境をよりよいものにするために、サーキュラーエコノミーの実現に向けた一歩を踏み出しているのです。