医療業界の未来を支えるカケハシの共通認証基盤構築とAuthleteの役割

1. はじめに

最近、医療業界におけるデジタル化の進展に伴い、個人情報の保護とセキュリティ対策が一層重要視されています。特に、医療分野においては、倫理的かつ法的な観点から、患者情報を適切に管理する必要があります。そこで、株式会社カケハシと株式会社Authleteの連携による共通認証基盤の構築が注目を浴びています。

2. カケハシの取り組み

株式会社カケハシは、医療業界に特化したSaaSプロダクトを提供しており、患者フォローアップシステムや電子薬歴システムなど、さまざまなサービスを展開しています。これらのプロダクトを通じて、薬局や医療機関との連携を進め、医療の効率化を図っています。最近、カケハシは共通の認証基盤を構築するため、AuthleteのOAuth・OpenID Connectを導入しました。この選択により、本来の業務に集中できるようになり、その結果、医療サービスの品質向上が期待されています。

3. 認証基盤の必要性と課題

カケハシが誕生した当初は、少数のプロダクトに対して個別の認証システムを構築していました。しかし、事業が拡大し、提供するサービスが増えるにつれて、各プロダクトにおける認証機能の開発・運用は、効率的ではなくなりました。それに伴い、セキュリティ対策の負担が増加し、企業は新たな認証基盤の構築に取り組むこととなりました。

4. 共通認証基盤の要件

カケハシが求めた共通認証基盤には、以下の4つの重要な要件がありました。

- 移植性: 将来的な基盤の移行が可能であり、事業継続の観点からも重要です。
- コンプライアンスとセキュリティ: 厚生労働省などのガイドラインに準拠し、厳格なセキュリティを確保する必要があります。
- 可用性: 医療システムの特性上、災害時などにも安定した稼働が求められます。
- 運用コスト: 小規模チームによる長期的な運用が可能でなければなりません。

5. Authlete選定の理由

カケハシがAuthleteを選定した理由は、その高い専門性にあります。AuthleteはOAuthとOpenID Connectに特化しており、運用サポートも日本語で行っています。また、BaaSアーキテクチャにより、プロダクト群の効率的な管理が可能となります。これにより、カケハシは自社のデータやシステムを活用しながら、運用コストを抑えることができました。

6. カケハシの今後の展望

現在、カケハシの共通認証基盤は2025年から稼働を開始し、マルチプロダクトにおける認証機能を共通化しました。これにより、開発効率が向上し、患者情報のセキュリティも強化されました。

株式会社カケハシのテックリード岩佐幸翠氏は、「Authleteに依存したことで、プロダクトチームが本質的な価値提供に専念できるようになった」と語っています。これからさらに、プロダクトごとの要件を柔軟にサポートできるよう、共通認証基盤を強化していく方針です。