『サライ』最新号が贈る「書」の美
今回の『サライ』2026年10月号は、創刊37周年を記念した特大号です。特集のテーマは「サライの『書』」。古今東西の名筆を通じて、書の深い世界を探求します。特に、王羲之や良寛などの名作を掘り下げ、その背後にある書家の心情や美しさを紹介します。
第1部:名筆を読み解く
本号の特集の核は「筆蝕」。これは、筆先が紙に触れる感覚を重視し、書の美しさがどう生まれるのかを探る取り組みです。書の歴史を振り返ることで、書家・石川九楊さんが教えてくれるのは、古代の甲骨文から始まる漢字の起源。ここから生まれた様々な書体の誕生や変遷を見ながら、書の心地よさに触れ、書の美が確立される道筋を辿ります。
続いて、名筆にスポットを当て、王羲之の『喪乱帖』や、空海の『風信帖』、顔真卿の『自書告身帖』などが取り上げられます。誌面においては、石川さんによる触覚的な「書きぶり」とともに、書を実際に体験する「臨書」を紹介。書家加藤堆繫先生がその技術を教えてくれるコーナーは、自らの筆によるそっとした体験が期待できます。
第2部:書を楽しむ
今号では、日常生活における「書」の楽しさにも焦点を当てています。写経や書道教室、手紙を書く楽しみを通じて、手で書く喜びを再確認します。鎌倉の長谷寺での写経体験や、書道家の永守蒼穹さんからの書の手習いまで、多彩な体験が盛り込まれています。
また、書道の偉人たち、例えば夏目漱石や鈴木大拙の書を交え、彼らの文人としての人間性も浮かび上がります。手紙を書くことが心の豊かさに繋がるという考えから、想いを込めた文字実践も重要な要素です。
引き出し付録と別冊付録
さらに、本号には引き出し付録として国宝や伝説の書が原寸大で紹介されるページもあり、藤原行成の『白氏詩巻』や紀貫之の『寸松庵色紙』を手に取るような体験が出来ます。別冊の「漢検」で腕を試すセクションでは、さまざまな級の漢字問題に挑戦することで、更なる書の技術向上が期待されます。
結びにかえて
このように、最新号の『サライ』は、ただ名筆を鑑賞するだけでなく、実際に自分が筆を持つかけがえのない体験を提供します。「書」が持つ美しさと、書の深さに触れることで、読者は新たな視点を得られることでしょう。だれもが筆を持ちたくなる魅力ある号に仕上がっています。是非、お手元に取ってその世界を感じてください。