日本人の金融教育に関する調査結果から見えた新たな課題と実践の方向性
近年、金融教育の重要性が高まる中、大人の金融知識をどれほどの人が実際に学んでいるのでしょうか。ブロードマインド株式会社が行った『大人の金融教育調査』によると、なんと68%を超える人々が金融に関する情報収集をしているとのこと。しかし、この数字の裏には「行動に移せない」という問題が潜んでいるのです。
調査の背景と目的
この調査は、金融サービスの開発を手掛けるブロードマインド株式会社と、その加盟企業によって実施されました。目的は、広範な世代やライフステージを持つ人々が金融教育をどのように認識し、どのように実践しているのかを明らかにすることです。特に、学んだ知識が実際に生活にどう影響を与えているのかを探ることに重きを置いています。
お金の勉強方法はオンライン化が進む
調査結果によると、68.2%の人々が「お金に関する勉強・情報収集を実践している」と回答。特に、20代以下はSNSや動画などのデジタルメディアを利用しており、30代以上になると書籍や専門家への相談も増えてきます。これを見ると、世代によって金融教育の受け入れ方が明確に異なることがわかります。
主な情報源は「オンライン記事」(67.7%)と「動画」(55.0%)、また「SNS」(46.9%)が続きます。このように、デジタル媒体に依存する傾向が見えています。その一方で、金融教育の設計においては世代ごとに異なるアプローチが求められることでしょう。
学ぶ目的と感じる乖離
お金の勉強をする目的として最も多く挙げられたのは「資産運用について理解したい」(82.0%)。次に「知識に不安がある」や「家計管理に不安がある」という意見も見受けられました。このことは、金融知識を必要とする背景には明確な目的または不安が存在していることを意味します。
しかし、「お金の知識を持っていればよかった」と感じる瞬間には、特に「社会人として働き始めた時」の回答が多いことが特徴です。重要なライフイベントに際し、金融知識が不足していることを痛感している人が多いのです。
学んだ知識の活用状況
興味深いことに、「十分に理解して行動できている」と答えた人はわずか31.7%にとどまりました。大部分は「理解はしているが行動できていない」(46.7%)という実態が浮き彫りになっています。このことは、金融知識を得てもそれを実践に移せない問題があることを示しています。
また、94%の人が「学校で金融教育を受けたかった」と回答し、高校での金融教育義務化を受けて、このニーズはさらに高まるでしょう。特に「資産運用」や「リスクに対する備え方」が最も学びたかったテーマとして挙げられています。
需要の高まるオンライン学習
「今後実践したい金融知識の学び方」に関しては、59.2%が「オンライン講座や動画学習」を最も希望しています。その後に続くのは信頼できる企業からの発信であり、ここでもデジタルメディアが重要視されていることが確認されます。
まとめ
この調査結果から、多くの人々が金融、特に資産運用に対して高い関心を持ちながらも、行動に移せない現実が浮き彫りになりました。また、金融教育への期待が強まる中で、今後の教育施策設計や学習支援に必要な方向性が浮かび上がっています。
金融教育は生涯にわたって必要とされるテーマです。今後も私たちは自身が学んだ知識を実践に活かし、より良い選択をしていくためのサポート体制を強化していくことが求められます。これは、全ての人が経済的に自立し、充実した生活を送ることにつながるのです。